光浦靖子×ジェーン・スーが語る“相談”の極意「笑ってあげることが一番の解決策」
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 雑誌「TV Bros.」(東京ニュース通信社)の連載コラムをまとめた『お前より私のほうが繊細だぞ!』(幻冬舎文庫)を2月に上梓した光浦靖子。TBSラジオの冠番組を書籍化した『ジェーン・スー 相談は踊る』(ポプラ社)を3月に発表したジェーン・スー。同性から高く支持されている彼女たちが、きしくも相次いでお悩み相談本を出版した。他人に心を開く“相談”という行為を通して、人は何を求めるのか。相談によって現代女性の“生きづらさ”は解消されるのか。2人が相談のプロとして語り合った。

――おふたりともたくさんの相談を受けていらっしゃいますが、どういったお気持ちで他人の悩みを受け止めているのでしょうか?

光浦靖子氏(以下、光浦) 『お前より私のほうが繊細だぞ!』は、「TV Bros.」の笑いのわかる人が読者なので、けちょんけちょんにけなしてもキレないし、そもそも人生を左右するほどの悩みは送ってこない。「コンビニに欲しいと思うものが何もありません」とか、「最近、僕のお母さんの格好がヒョウ柄化してきています」とか、ちょっと特殊ですよ。

ジェーン・スー氏(以下、スー) 私の方は、「同性愛者であることを母親に伝えられずにいます」といった大まじめな相談もあれば、「アイスクリームの木の棒の味が嫌いです」といったライトでふざけているものもあり千差万別です。番組に悩みを送ってくるということは、匿名の人に聞いてもらいたいということだと思うんですよね。例えば、「結婚10年目、家内から突然『離婚しよう』と言われ、困惑しています」というのも、周りには話せないけど聞いてほしいのだと思う。だから私としては、とりあえず聞いたところで半分は役目は果たしたと捉えています。その上でアドバイスするときは、本人の気持ちを否定しないように気をつけています。

光浦 プライベートではどうですか? 私はぶっちゃけ、あんまり相談されない。

スー 私も「折り入って相談があるので、時間をつくってください」という人はほとんどいませんね。大人になったら相談の入り口と出口のグラデーションがマイルドになるので、話をしているうちになんとなく相談ごとになって……というのはありますが、「折り入って相談」というのは、学生時代くらいじゃないですか? あの頃はヒマだから相談すらもイベントになってた。

光浦 確かに学生の頃は、毎日が相談だった。「目が合ったけどどうしよう」って、今考えたらバカだね~。でも、それが楽しかった(笑)。今となっては、私は恋愛経験がないもんで、恋愛に関しての相談はゼロですね。

スー 同世代だとママ友に関する悩みなんかがあるみたいです。私にはわからない状況なので役に立たないんですが。

光浦 私、ママ友の話を聞くの大好きなの。「ママ友付き合いって大変ね」って。

――自分にまったく関係のない相談だと親身になれないということはありませんか? そういうときは、知らない世界をおもしろがる感覚でしょうか。それとも相手の話を受け止めてあげるという感覚でしょうか。

光浦 私は親身になってますよ、いつも。

スー そうですね、おもしろがってはいないですね。“○○してあげる”という姿勢が一番嫌われると思うんですよね。高みに立っていいことなし。こちらが結婚していないし子どももいないからこそ、率直に「大変だね」と言えるし、相手も「どうせわからないだろう」と思ってるからこそ開けっぴろげに話せるということもあると思う。“相手と向き合う”とまでは言いませんが、“横に座る”ぐらいの気持ちでいたいなと、いつも心がけています。

光浦 そもそも悩みなんて、相談したところで解決しないものでしょう。だから、笑ってあげることが一番の解決策。そちらの世界ではつらいことも、こちらの世界に来たら笑いが取れる、世界は2つあると思うと気持ちが楽になるから。

――自分にとっては「どうしてそんなことで悩むんだろう」という些細なことで悩んでいる人に対してはどう答えますか?

光浦 それこそ「それはこっちに来たら笑いが取れる話だよ」と言って笑っちゃう。「自他ともに認める“気にしい”が細心の注意を払ったんだから、私たち凡人からしたらそのミスは決して気付かないよ、気にしすぎだよ」って。

スー 笑うことは大事ですよね。『相談は踊る』にも書いたんですけど、「おちんぽまんじゅう」と唱えれば、どんなにシリアスなときでもバカらしくなって冷静になれる。この言葉は、もともと私の友人が家族のことで悩んでいるときに出てきた言葉。家族と揉めてついカッとなりそうなときは、頭の中で「おちんぽまんじゅう」と言えば、どうでもよくなるはずだと。後日、友人から「すごい効いたよ、“ちんちんだんご”」と報告されました。ざっくりOKですけど(笑)。

光浦 「おちんぽまんじゅう」ね。私もこの手使おう。

スー 自分を見失いそうなときや自己陶酔しそうなときにも効きますよ。

■不倫の悩み、アリかナシか

――おふたりの著書を読むと、不倫の悩みに対して厳しく対応されていました。光浦さんは妻がいる男性側に対して「自分さえよければいいのか」、ジェーンさんは独身女性側に「我慢の投資は回収できない」「純粋に好きって気持ちは法律の前では無力」とバッサリ斬っています。

スー 不倫は女性が独身の場合、損する確率が圧倒的に高いんですよ。20代後半から30代のいい時期を未来の描けない相手にハマって失ったり、経済的に余裕のある妻帯者に甘やかされていい寿司しか食べられなくなったり。嗜好が高級になっちゃうと、そのあと同世代の男性と付き合えなくなって、ずっと不倫ばかり続けたりする人もいる。楽しいかもしれないけど、あとから取り返しがつかなくなっても大丈夫? 損をするのはあなただよ、とまじめに警鐘を鳴らしている人があまりいないから、厳しく聞こえるのかも。

光浦 私は別に、不倫に厳しいわけじゃないですよ。お悩み相談してきた男の文面に腹が立っただけ。不倫自体は、なにもなくて朽ちていくよりは、一瞬でも燃え尽きた方がいいかなと思っています。

スー 「なにもないよりいい」って、不倫している当事者が自分を納得させるために使う言葉ですよ。

光浦 そう? 私みたいに40越えても「いつか王子様が現れる」とただ待っているより、不倫している方が楽しいんじゃないかなと思うけど。

スー 同じはかりで比べられませんが、王子様はいませんよ。それだけは、はっきり言えます。

光浦 でも、いつかご縁があるんじゃないかと……。

スー もちろんご縁はあるかもしれないけど、王子様はいませんよ(笑)。