下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 先週から日本を激震させているSMAP解散問題。

昨日18日は会見でなく『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で謝罪し一応の落着となったが、それはまったくの茶番だ。そもそも騒動の発端は副社長のメリー喜多川が「(娘のジュリーと対立するなら)SMAPを連れて今日から出て行ってもらう」と飯島三智マネジャーに言い放った挙げ句、解雇したからではないか。SMAPに向けても「出て行け」といったメリーさん89歳。大混乱の元凶はこの高齢副社長とそれに右往左往するしかなかった旧態依然とした芸能マスコミか。

第299回(1/14~19発売号より)
1位「“木村の裏切り”“中居の怒り”それでもSMAPは解散しない!!」(「週刊女性」2月2日号)
2位「中居正広『僕たちはSMAPがあってこそ…』“育ての母”へ『惜別の誓い』を――SMAP『5人の絆は終わらない!!』」(「女性自身」2月2日号)
3位「船越英一郎 松居一代を離婚! 『耐えて忍んだ15年』全記録」(「女性セブン」1月28日号)

 日本中がSMAP問題で持ち切りの1週間だったが、そこで露になったのがジャニーズタブーに毒された芸能マスコミの腰抜けぶりだった。そんな中、ジャニーズキラーの「週女」が放った特集は、期待通り異彩を放っている。

 これまでほとんどのスポーツ紙、ワイドショーが報じ続けてきたのは、今回の騒動がSMAP育ての親・飯島マネが独立を画策したクーデターだというものだった。飯島マネが諸悪の根源、そして木村拓哉はそれに同調せずジャニーズの恩義を重んじた筋の通った男で、それ以外の4人のメンバーは“裏切り者”。特に中居正広はその中心的存在で、しかしすでに中居は後悔しきり。さらに昨日の『SMAP×SMAP』での謝罪、そして全員残留はキムタクが副社長のメリーを説得した結果――。

 しかし、それらはジャニーズ事務所の情報操作の結果であり、“真相”が別にあることは明らかだ。

 御用媒体ではない「週女」のSMAP特集は、これまでの報道をことごとくひっくり返し、騒動の“真相”に迫った記事だ。


 まず「週女」は騒動の発端はクーデターなどではなく、副社長のメリーによる飯島マネ(記事ではIマネ)とSMAPの追い出し発言だったとの“内情”を伝えている。

 それは「週刊文春」(14年1月29日号)に掲載されたメリー喜多川の驚愕インタビューだった。メリーはここで飯島マネに対し、娘の藤島ジュリー景子(記事ではJさん)と「対立するならSMAPを連れて今日から出て行ってもらう。あなたは辞めなさい」と勧告したのだ。

 それ以前、社長であるジャニー喜多川は事務所の今後の構想として近藤真彦を社長に据え、飯島マネをその下に置き、ジュリーを創業者オーナーとしてマッチの上に君臨させるという絵図を描いていたが、このインタビューで全てがおじゃんになってしまったという。

 さらに昨年末の『NHK紅白歌合戦』の司会者に飯島マネがSMAPをブッキングしようとしたことでメリーがブチきれ、ここでも「SMAPを連れて出て行け!」と言い放ったという。

 要するにメリーが飯島マネだけでなくSMAPに対しても「出て行け!」と退社勧告をしたことが発端だったのだ。

 そのため飯島マネはSMAPを受け入れる事務所を探すなど奔走したが、途中からメリーがSMAP利権を手放したくないと邪心しはじめ、またキムタクが残留するという“裏切り”までが発生する。裏切ったのはマネジャーや4人ではなくキムタクだったことをきちんと指摘する媒体は数少ない。さらに飯島マネや4人が知らないところでさまざまな工作が行われていた。

 そして1月13日、「スポニチ」「日刊スポーツ」が独立を報じたことも、ジャニーズサイドのリークであり、その翌日の「週刊新潮」(新潮社)潰しだったことも記されている。

「4人のメンバーとIマネを悪者にし木村を善人にする必要があった」

 それでもSMAPの存続を示唆する「週女」だが、続いて指摘されるのが今回の騒動が残した恐怖だ。


「すべてのタレントとスタッフが、メリーさんの顔色をうかがいながら活動している。昔から生活面とか礼儀とか怖かったけど、今はそれとは異質の恐怖がある」

 事務所に多大な貢献をし、国民的とも言われるSMAPさえもメリーの一声でどうにでもなる。それは他関係者にとって恐怖でしかないのは当然だろう。

 こうしたことは芸能マスコミ関係者の多くが知っている“事実”だ。しかしジャニーズタブーのため自粛し書かない、しゃべらない。

 そんな中での「週女」の健闘だが、ほかにも芸能界の重鎮A社長(タモリなどが所属する田辺エージェンシーの田邊昭知のことだと思われる)が救いの手を差し伸べようとメリーに働きかけたこと、財界筋(日本財団のことだと思われる)もメリーにSMAP存続を訴えているなどの情報もきちんとフォローしている。

 まさに今回の騒動はメリーの“ご乱心”の結果であり、それを強く臭わせた「週女」。ジャニーズ御用達媒体とは一線を画しジャニーズキラー雑誌として面目躍如だったが、一方の御用達の典型例が「女性自身」の特集だ。

 いみじくも「週女」が指摘したお手本のような悪しき癒着媒体ぶり、いやそれを通り越して内容はスカスカだ。

 飯島マネが親しい友人に「独立はおろか、芸能界での仕事すら諦念した」と別れの言葉を語ったと紹介しながら、しかし飯島マネを徹底批判するわけでもなく、木村に4人のSMAPメンバーと事務所の仲介を依頼したなどと、どうなの? と疑問符が付くような情報を紹介したり。

 木村に対しても「売れたから独立というのは筋が違う」との思いを代弁し持ち上げるが、木村だけでなく他メンバーの美談を紹介したりSMAPの軌跡や絆をおさらいしたりと意味不明。

 諸悪の根源であるメリーに関しても、ほとんどスルーした挙げ句、「彼女は4人が決して憎いわけではない」などと必死にバランスを取ろうと苦慮する様子がありありだ。
何をやったかと思えば元SMAP森且行への直撃――。トホホ、である。

 おそらく記事を書いた時点で今後の展開がどうなるか、事務所の意向を忖度しようとしても“読み”も“情報収集”もできないようで、よってブレブレの典型例となっている。

 こうして大騒動を巻き起こしたSMAP分裂危機騒動だったが、発売日の関係で12日夜にそれをキャッチしたという「女性セブン」も騒動勃発当初の断片的情報や、「週刊文春」(文藝春秋)のメリーインタビュー、後継者争いの概要をかろうじて掲載していることを付記しておきたい。

 このSMAP騒動に最も愕然とし、そして思惑が外れてしまったのが松居一代ではないだろうか。14日発売の「セブン」にトップ特集として掲載されたのが松居一代と船越英一郎の離婚騒動だった。これまで何度も喧嘩や別居などが報じられ、そのたび嬉々としてメディアの前に登場し、夫婦円満を強調してきた松居。今回も「セブン」記事を受けて集まってきた記者たちに離婚を否定し、近所の神社に連れて行き夫婦の名前が記された鈴緒を見せて夫婦円満をアピールした。

 しかし時期が悪かった。折しもその前日の13日はSMAPの解散分裂騒動が弾けたばかりで、その扱いは本当に微々たるものだった。

 誰も松居の年中行事のような話題に反応しないし、芸能マスコミもそんなヒマネタに手が回るはずもなかった。残念(笑)。


※画像は「週刊女性」2月2日号(主婦と生活社)

編集部おすすめ