下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 SMAP騒動が一段落したと思ったら、ベッキー騒動がそれ以上に尾を引き、遂には休養に追い込まれた。

これは芸能界の不条理な掟の1つだ。今週はベッキー騒動について考えたい。

第301回(1/28~2/2発売号より)
1位 <女性週刊誌全誌が取り上げたベッキー記事>
「浪速の星ともいけない関係! ベッキー ゲス極 口説き酒実況中継」(「女性セブン」2月11日号)
「ベッキー“座敷牢”で描く『引退でも彼と…』暴走夢」(「女性自身」2月16日号)
「ベッキー 芸能界“引退”で結婚熱望もゲス川谷はすでに逃げ腰!?」(「週刊女性」2月16日号)
2位「つちやかおり“交際順調”彼氏が隠れ家BAR開店で愛のヘルプ!」(「週刊女性」2月16日号)
3位「植草克秀 『いいアイデア出そうよ!』夜カフェで熱血打ち合わせ撮」(「週刊女性」2月16日号)

 今週の女性週刊誌全誌では、ベッキー不倫問題が大きく取り上げられている。

 まず「セブン」ではトップ記事として、ベッキーのもう1つの“疑惑”を伝えている。それがベッキーにはゲスの極み乙女。・川谷絵音以外にも“既婚者男”の陰があったというもの。


「大阪を拠点とするプロスポーツ選手で、“浪速の星”と呼ばれる人気者のAさんです」

 ネットではすでに実名が上がっているが、その真偽は不明。

 お次の「自身」は、ベッキー騒動で所属事務所のサンミュージックが事業縮小、リストラの危機に直面しているが、ベッキーは川谷への思いが強く、「一緒になる」ためには引退も辞さないという内部事情を紹介する。同様に「週女」もベッキーが川谷と結婚を熱望しているが、一方の川谷はビビって「もう別れようかな」と周囲に語ったらしいと報じる。

 ここまで追い込めばもう書きたい放題、というのが現在のメディアだが、しかしこれら記事で紹介されるのが、ベッキーに対する世間の風当たりの強さだ。

「テレビ局には連日、抗議の電話が殺到」「200件を超える電話、500件以上のメールが殺到」「出演させるな」「クライアントが激怒」

 その多くがベッキーを非難するもので、その反響はSMAPの解散騒動より大きいらしい。びっくり。




 さらに驚くべきは、ベッキーを擁護すると視聴者から「不快感を覚える」との問い合わせが殺到するということだ。

 日本人ってそんなに不倫や倫理に目を剥くような社会だった? 全員品行方正? ベッキーのやったことは犯罪? なぜここまでバッシングを受けるのか本当に不思議としかいいようがない。

 確かに優等生キャラのベッキーが不倫というのはギャップが大きく、人々の関心を買うことは確かだ。しかも謝罪会見後にも追加報道が出て多くの人々の心証を害したのも確かだろう。

 でもそうした人々やマスコミも、これまで不倫してきた大物芸能人に関してはスルーしてきたではないか。佐藤健とお泊まり不倫疑惑が報じられた広末涼子、既婚者だった宮崎あおいを不倫略奪したV6岡田准一
離婚協議中に新恋人発覚の中山美穂小泉今日子と熱愛が報じられた豊原功補も離婚が成立していないのではとの疑惑が浮上した。しかしいずれもマスコミや世間からのバッシングも、仕事を干されることもなくうやむやになったままだ。

 いや、もっともっと超大物のビートたけしだって過去数々の浮気報道を巻き起こし、2年ほど前にも18歳年下の愛人が発覚したが、現在でも堂々と不倫同棲を続行中だ。しかし、たけしは不倫が直接的原因で仕事を干されたことはない。

 ベッキー問題を盛んに報じている情報番組にしても同様だ。

 『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)の宮根誠司は長年付き合っていた愛人と隠し子までいる。
『直撃LIVE グッディ』(フジテレビ系)の安藤優子も不倫略奪の経験者だ。また『モーニングショー』(テレビ朝日系)の羽鳥慎一も離婚後すぐに再婚したため、不倫だったのではないかとの疑惑があった。

 しかし彼ら、彼女らはベッキーのように批判されることはなかった。なんという不条理。もちろんマスコミのこうした対応の差は、彼らのバックにある大手事務所の存在がある。至極わかりやすい。
さらに矢口真里の不倫騒動を見ても、男の不倫にはおおらかな一方、女には苛烈という“差別”もある。

 だからこそベッキーを批判する人々には、芸能界やマスコミには不条理や不公正さが存在することを是非知ってほしい。大物なら許されて清純キャラのタレントは許されない。そんな弱い者イジメでベッキーを抹殺していいのか、と。

 SMAP、ベッキーと間違った方向での芸能報道が続いているが、そんな中、意外にホッとさせてくれたのが「週女」のトップ記事(!)つちやかおり熱愛の“その後”だ。

 離婚の一因ともいわれた、つちやの熱愛不倫相手の男性が、青山の割烹料理店を辞めて西麻布でBARを始めた。
そこにつちやも足しげく通い、店を手伝っている。「週女」の直撃に男性は「友達」を強調し、つちやは交際順調を認める。 

 力が抜ける。ど~でもいいよ、そんなこと。でもだからこそなんだか読んでいて落ち着く。不思議。

 しかもどう考えてもこのネタは、つちやの売り込みでしょ。離婚騒動の時も「週女」は妙につちやに肩入れした記事を掲載していたし。

「もう、マスコミの皆さん、私も注目して! 話題にして! カレがBARを始めたの。私もお手伝いしてるんだから」

 一家総出で話題作りに勤しんでいた布川家の残り火的記事。2人が結婚しようが破局しようが、店出そうが、どーでもいいけど、こうした芸能記事って清涼剤的な役割を果たしているのだと初めて気づいた。

 次は一応SMAP関連だが、そうくるか!? という「週女」らしい記事だ。SMAP謝罪の3日後、マッチの音頭でジャニーズ軍団が集合した食事会は大きな話題となったが、しかしそこには少年隊の植草克秀の姿はなく、仕事関係者と深夜まで打ち合わせをしていたという。どうやら「会食にも呼ばれなかった」らしい。

 通常ならジャニーズ軍団の食事会を取材するはずだが、そこを外して植草を追う「週女」。シブい。さすが(笑)。しかもカフェでの植草の姿もちゃんと写真に収めてる!

 ともあれ、前妻へのDV疑惑に、ホステスへのセクハラ、携帯ゲームにはまり、デキ再婚で前妻に養育費を値切る。そんなトホホな話題しかない植草にとって、SMAP騒動なんて他人事で関心すらなかったのだろう。後輩のことを心配しているどころではないしね。