羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。



<今回の芸能人>
「ザ・女性みたいな対応」misono
『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京、11月24日)

 “理路整然とぐっちゃぐちゃ”――過去にこの連載でも書いたが、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で公開した物にあふれた自宅と、冗長すぎるブログから得たmisonoの印象は、こんな感じである。本人的には筋の通った理屈で説明しているつもりでも、聞けば聞くほど「何言ってんだ、この人」と、わけがわからなくなってしまう。仕事やプライベートでmisonoと行動を共にするのは、よっぽどの人格者か策士でなければ、コミュニケーションは不可能なのではないかと思えるほどだ。

 過去に、「30歳で引退する」と宣言したmisonoだが、おぎやはぎが「引退ビジネス」と予想した通り、結局引退せずに大炎上、32歳の今も芸能界にいる。11月24日放送の『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京)では、misonoのもう1つの炎上騒動である、吉木りさにケンカを売った話を本人が解説した。

 ロンドンブーツ1号2号や吉木ら、『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)のレギュラーメンバーが新年会をしていた時のこと。男性陣が吉木をチヤホヤし、「どんなタイプが好みか?」と聞いていたそうだ。出演者ではないが、会に同席していたmisonoいわく、当の吉木は「いや、全然でぇ」と明言せず、その態度が「ザ・女性みたいな対応」に感じられ、吉木に向かって「ウチ、そういう女性苦手やわ~」と発言。それを、ロンブーが同ラジオ番組で話したことから、騒ぎが大きくなったという。

 「ザ・女性」の定義について、misonoは説明していないが、『じっくり聞いタロウ』での「レギュラーメンバーとか一緒に仕事してる人とは、何でも話し合える関係が理想」といった発言から考えると、「思ったことを言わない」「誰にでもいい顔をする」人を「ザ・女性」と表現した可能性はある。そして、そんな「ザ・女性」を“ズルい”と批判しているように私には見えるのだ。

 ちなみに、この番組では触れられなかったが、misonoはその新年会に、呼ばれていないのに勝手に乗りこんでいたと、『アッパレやってまーす!』で明かされている。
misonoは田村淳夫人とディズニーランドに行き、帰りに淳出演のラジオを聞いていたところ、「淳が呼んでる」と勝手に思いこんで、夫人に新年会へ行こうと提案。夫人は断って帰宅したものの、misonoはわざわざ自宅まで迎えに来て、夫人を連れて新年会に参加したそうだ。

 またmisonoは、男性陣の挙げた具体的な芸能人名を、吉木が全員「無理(タイプではない)」と否定したことに対して、「あんた、何なん」「せっかく淳が(好きな男性のタイプは誰かと)ふってくれてんのに」というキレ方もしていたそうだ。おそらくmisonoは、もっと気の利いた答えをしろと言いたかったのだろうが、吉木の立場になって考えてみれば、誰か1人を「いい」と褒めるより、全員「無理」と言ってしまう方が角も立たないと、賢明な判断をしたのではないだろうか。それに、男性陣が吉木に真剣な答えを求めているかも疑問である。実際、吉木の発言で場が盛り下がることはなく、新年会のスポンサーであるいわく「呼んでもないのにやってきて、ガツガツ食っていた」と、misonoの方が顰蹙を買っていたようだ。



 自分をチヤホヤしてくる男性を軽くあしらう「ザ・女性」をズルいと思っている――そんなふうに見えるmisonoも、方向性こそ違うものの、結構ズルい。

 例えば、misonoは淳とプライベートでも親しいことから、「アツシ(場合によってはアッシ)」と呼び捨てにしているが、女性の先輩にも同じことができるか疑問である。序列にうるさい芸能界で、こんな非礼を働けるのは、「男性になら怒られない」という甘えであると、私には見える。それに加えて、misonoが新年会に夫人を連れて行ったことも、ズルい。レギュラーではないmisonoは1人では新年会に参加できない。しかし、夫人が一緒であれば、周囲はmisonoを門前払いするわけにはいかないからだ。


 それにしても、なぜ夫人はmisonoと付き合っているのだろう。misonoの言動は、支離滅裂で、新婚家庭に夜中まで入り浸っていたという報道があったように、常識もない。付き合うと疲れるタイプだろう。淳は、新年会の飛び入り参加について、「うちの嫁は、すげぇ断ったんだよ。ああいうところは行かない方がいいから」と説明していたものの、「できた嫁」で売っている夫人が、いくらしつこく誘われたからと言って、夫の許可なく突然職場の飲み会に参加するとは考えづらい。

 本当の理由は他人にはわからないが、夫人がmisonoの誘いに乗り、ある意味misonoを新年会に送り込んだことで、騒ぎが起こった。それを夫がラジオで話し、さらに吉木がmisonoに反撃する流れとなって、結果的に夫の番組を盛り上げるのに一役買ったのだ。夫人は「非常識なmisonoだが、適当につきあっておけば何かコトを起こし、結果的に夫にネタを提供して、夫の番組の話題性を高めることに貢献する」ことを熟知しているように感じる。これを内助の功と見るか、策士と解釈するかは人によるだろう。

 有吉弘行が『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFNC)で、misonoを「引退詐欺」と罵った際、それを聞いたmisonoが号泣し、淳宅に駆け込んだそうだ。それを受けて『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の収録の際、淳は有吉に「misonoのこと叩いた?」と聞き、「(有吉の)ラジオで、この話をしていいよ」と付け加えたという。

 話を聞いてはくれるものの、味方をすることはない。
これって実は一番ズルい存在ではないのか? 淳はmisonoがすがる唯一のブランドといっていいが、誰が一番ズルいのか、よくよく考えてみた方がいい。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの
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