2月28日、佐々木希が、夫であるアンジャッシュ・渡部建との間に、第1子を妊娠していることを、「スポーツ報知」がスクープした。同日、佐々木はインスタグラムで妊娠を発表し、「お腹の中に宿った命を大切にしながら秋の出産に向けた時間を過ごしたい」とコメントをしていた。
追って、現在妊娠3カ月であることも報じられ、ネット上は祝福ムードに包まれたが、一方で、「なぜ安定期に入っていないのに、妊娠をスクープしたの?」「おなかの子どもに何かあったらどうするつもり」「本人たちの発表を待たない理由は?」などと、マスコミに対して批判が噴出。渡部も、パーソナリティーを務める『GOLD RUSH』(J-WAVE)で、妻の妊娠を発表した際、「まだ安定期にも入っていなかったので、時期をみてお伝えしようと思っていたのですが、先に報道が出てしまったので、こういう形での報告となりました」と、暗にマスコミを批判するコメントをしていた。
過去にも、同様のケースはあり、昨年6月には「女性自身」(光文社)が堀北真希の妊娠をスクープ。この報道を受けて、堀北の所属事務所は、「妊娠初期で大事な時期なので、温かく見守って下さい」とコメントし、夫の山本耕史も自身のブログに「本来であれば安定期に入った段階で、まず会員の皆様にご報告すべきところですが、私たちの意思に反して、この時期に、そしてあのような形で報道されてしまいました」と、マスコミに対する抗議の意をこめた文章をつづっていた。切迫流産や流産のリスクにもなる
安定期に入る前に、マスコミが妊娠をスクープする――世間で批判が渦巻くこの行為を、婦人科医はどう見るのか? 成城松村クリニックの松村圭子院長は、きっぱり「医師の立場から言って、やめるべき」と言う。
「まず、妊婦さんは安定期に入るまで、『流産してしまわないか』という精神的な不安を抱えるものです。加えて、つわりが起こったり、また妊娠をするとホルモンバランスが急激に変化し、それは体にとってストレスとなります。こういったストレスは、自律神経の働きを乱しかねないのですが、そこにさらに妊娠スクープといった“ストレス源”になるようなことが起こってしまうのは、母子ともに悪影響。というのも、ストレスがかかると優位になる、自律神経の交感神経には、血管を収縮させる作用というのもあるので、おなかの赤ちゃんの発育にも影響を及ぼしかねない。さらには、切迫流産や流産につながるリスクにもなります」
松村先生は、安定期前の妊婦にとって“流産の不安”がいかに大きいものかを指摘する。
「安定期というのは、医学的に定義があるわけではなく、一般的には妊娠16週くらいからそう言います。妊娠5カ月以降ですね。
一方で、マスコミの言い分はどうなのだろうか。安定期に入る前の“妊娠スクープ”に罪悪感はないものなのだろうか。芸能マスコミ記者であるX氏は、「堀北さんの妊娠スクープで、世間からのバッシングが巻き起こったことにより、マスコミ側にも“控えよう”といった空気がないわけではないのですが……」と前置きしつつ、本音を語ってくれた。
「例えば、タレントの妊娠情報をつかみ、芸能事務所側に問い合わせをした際、『妊娠は事実だが、まだ初期なので報道は控えてほしい』とのことであれば、報じることはまずありません。ただ、事務所が問い合わせに対してノーコメント、でも妊娠の確証はある場合、スクープするマスコミはいると思います。当然ケースバイケースですけどね。やはりマスコミは、“スクープを取る”というのが仕事ですから。そのため、これからもこういったスクープは出るのでは」
また、妊娠スクープは、実は「芸能事務所からの情報」というケースもあるそうだ。
「例えば、そのタレントに大きな仕事が入っている場合、安定期に入ってからの妊娠発表では、関係各所に混乱が生じるのではと判断され、事務所がマスコミに“報じてほしい”と情報を流すことがあるんです」
タレントの妊娠スクープにはさまざまな事情があるようだが、何よりも“母子ともに健康な状態での出産”となるよう、関係者には最善を尽くしてもらいたいものだ。