羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「これから家族の幸せをゆっくり育んで行きたい」小倉優子
(小倉優子公式ブログ、8月27日)
妊娠中に、夫が自分の後輩と不倫――女性にとって一番想像したくない出来事と言ってもいいだろう。
その小倉が、40代の歯科医師と再婚を見据えた真剣交際と「フライデー」(講談社)が報じた。小倉自身も、公式ブログで「これから家族の幸せをゆっくり育んで行きたい」と交際を認めている。おめでたい話に頼まれもしないのに水を差してなんだが、また難しい人を選んじゃったな、初婚気分で相手を選んでいるなというのが個人的な感想である。
概して独身女性は「聞こえのいい人」に惹かれるが、実は聞こえがいい人とは、交際向きであって、結婚向きでないこともある。それでは、どういう人が結婚に向いているかというと、「リスクのない人」である。ちょっとつまらない、味気ないくらいの人の方が、結婚には向いているのではないだろうか。
実例を挙げてみよう。子連れ再婚の成功例は、爆笑問題・田中裕二と山口もえ夫妻だろう。もともと田中がもえの大ファンで、もえの離婚後に、励ましの意味もあって食事に誘ったことがきっかけで、交際に発展した。しかし、山口もえは『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)で、田中のルックスが好みでなく、セクシャルな気持ちにならないと打ち明けたことがある。
ちなみに、田中はバツイチだが、『さんまのまんま』(関西テレビ)で本人が語ったところによると、長者番付に載るほど高収入なのに、前妻に給料を全部渡し、そこから5万円を小遣いとしてもらって競馬を楽しんでいたそうだ。また、前妻の両親のための二世帯住宅を建てたという。その前妻が、田中の相方である太田光に「生理的に気持ち悪くなった」と打ち明け、しまいには離婚。その際、前妻は別の男性の子どもを妊娠していて臨月間近だったそうだ。ちなみに田中は、猫とスイーツが大好きで、女性と世間話をすることがまったく苦にならないらしい。談笑する後ろ姿は、まるでおばさんだと、太田が説明していた。このエピソードを「聞こえ」で箇条書きすると、以下のようになるだろう。
1.イケメンではない
2.お人よし(奥さんに財布を握られている)
3.ニブい(妻に嫌われていること、妊娠していることに気づかない)
4.男性的魅力に欠ける(「まるでおばさん」と言われる)
しかし、再婚して連れ子と生活すると仮定して、リスクで田中を判断すると評価は変わってくる。
1.イケメンではない=浮気のリスクが低い
2.お人よし=田中の稼いだカネを女性が管理することに抵抗がない、カネをあまり使わない
3.ニブい=女性側にいちいち文句を言ってくる可能性が低い
4.男性的魅力に欠ける=育児という共同作業をするのには、男性的魅力よりも、女性の話をじっくり聞いてくれる方が助かる
つまり、田中はかなり結婚向きの男性であると言える。
このルールで考えた時、小倉の新カレシは引っかかる。「サンケイスポーツ」や「女性自身」(光文社)、「週刊女性」(主婦と生活社)の情報を総合すると、新カレシは、
1.44歳、初婚
2.趣味はカーレース
3.実家は資産家のお坊ちゃん
4.都内で歯科医院を開業
だそうだ。聞こえと育ちのいいお坊ちゃんであることが窺えるが、見方を変えるとリスクだらけである。
まず「1.44歳、初婚」。新カレシは、小倉の子どもをかわいがっているそうだが、今は時間が限定された付き合いだし、小倉に気に入られたいので、そう苦にはならないだろう。しかし、ずっと独身だった男性が結婚した場合、他人である小倉と暮らすだけでなく、小さい子ども2人とずっと一緒に過ごさなければならないだけに、肉体的にも精神的にも負担になることは想像に難くない。次に「2.趣味はカーレース」。カーレースと言えば、金食い虫の代名詞で、家族持ちの趣味としては、あまりよろしくないだろう。
「3.実家は資産家のお坊ちゃん」も、よさそうでよくない。お坊ちゃんと子連れ女性の再婚で思い出すのが、元フジテレビの女子アナ・寺田理恵子の再婚劇である。寺田はディレクターだった夫との間に娘をもうけるが、夫を脚本家の梅田みかに奪われる形で離婚。仕事で知り合ったNECの御曹司と再婚する。御曹司は、当初連れ子をかわいがったものの、実子が生まれると明らかに差別をはじめ、連れ子を実子に触らせないようにしたり、旅行の際は連れ子を置いていくなど、つらく当たったという。家族旅行に初めて行ったのは高校生になってからだったと、連れ子自身が『爆報!THEフライデー』(TBS系)で話していた。連れ子を愛せないというのは、実際には男性だけの問題ではないだろうが(女性でも、夫の連れ子がかわいく思えないと悩む人は多い)、お坊ちゃんならではの自分中心の性格が裏目に出ると、子どもに冷淡な態度を取る可能性はある。
最大のリスクは「4.都内で歯科医院を開業」である。歯科医院開業のために、さぞ設備投資しただろう。カネをかけた分、元を取るためにも、その医院を自分の子どもに継がせたいと考えるのはよくある話である。もしそうだった場合、 小倉は今いる2人の子に加え、跡取りを生んで歯学部に入れ、歯科医師免許を取らせるという大きなミッションを背負うことになるのではないだろうか。
このような観点で見ると、
1.44歳、初婚=共同生活に向かないかもしれない
2.趣味はカーレース=カネがかかる
3.実家は資産家のおぼっちゃん=わがままで、こらえ性がない可能性がある
4.都内で歯科医院を開業=子どもを歯科医師にしなければならない可能性がある
となり、トータルで見ると、小倉の新彼氏は、結構手のかかる相手とも見ることができるのだ。
ま、そうは言っても、全ての結婚は賭けである。結婚するとしても、芸能界の仕事だけは手放さなければ大丈夫。小倉って、案外しゃにむに働く星の下に生まれたのかもしれない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
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