民放の午後8~10時台の秋ドラマがスタートし、初回視聴率では17.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した人気シリーズ『相棒 season17』(テレビ朝日系)がトップに輝いた。2位も同局の倉涼子主演『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』がランクインした一方で、低迷が続いていたフジテレビの作品が3位に登場。

早くも数字面で熾烈な戦いを繰り広げている。

 1位の『相棒』は、初回30分拡大スペシャルを放送。昨年のseason16の初回も30分拡大版で制作され、視聴率は15.9%をマークし、今シーズンは17.1%と前作超えを果たした。今期は、杉下右京水谷豊)と冠城亘反町隆史)による特命係が4年目を迎える中、“3人目の男”として、青木年男浅利陽介)が加入。初回には3代目の相棒・甲斐享を演じ、2016年12月に芸能界を引退した成宮寛貴の映像が流れたほか、大木長十郎役の志水正義が9月27日に死去したことを受け、映像やテロップで追悼。10月24日放送の第2話は初回の後編にあたるだけに、こちらも高視聴率が期待できそうだ。


 2位は大ヒット作『ドクターX ~外科医・大門未知子』で主演を務めている米倉主演の『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』。弁護士資格を剥奪された元弁護士の小鳥遊翔子(米倉)が、人材を集めて新たに「京極法律事務所」を立ち上げるところから物語が始まった。共演は林遣都高橋英樹向井理菜々緒小日向文世ら個性的なメンバーで、初回は15.0%、第2話で18.1%に上昇した。順調とはいえ、視聴者の間では「『ドクターX』の大門未知子が転職したみたいで、なんのひねりもない」「『リーガルV』確かに面白いけど、小鳥遊よりも大門の方が好き」と、やはり『ドクターX』を引き合いに出す声も見受けられる。

 ベスト3位に食い込んだのは、全米でヒット中の弁護士ドラマ『SUITS』を原作とし、舞台を日本に移した『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)。織田裕二が主人公の敏腕弁護士・甲斐正午を演じ、そのバディ(相棒)で完全記憶能力を持ちながらも、フリーター生活を送る鈴木大貴役にはHey!Say!JUMP中島裕翔がキャスティングされた。
織田にとって10年ぶりの月9主演であり、『東京ラブストーリー』(同)以来27年ぶりとなる鈴木保奈美との共演も話題になった影響か、初回は14.2%のロケットスタート。しかし、第2話は11.1%、3話で10.3%に下がり、早くも暗雲が立ち込めている。



 フジテレビは、月9が2ケタの高記録を出す中で、佐々木蔵之介主演の『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(同)はワースト3位に。同作にはジャニーズWEST藤井流星が出演し、主人公・瀧沢完治(佐々木)と真璃子(中山美穂)夫婦の娘(石川恋)と婚約しながらも、真璃子と“禁断の恋”に落ちていく若手青年弁護士・日野春輝を演じている。一方、完治も旅行先のスイスで偶然出会った目黒黒木瞳)と仲を深めていくという大人のラブストーリーだ。原作は「ビッグコミックオリジナル」(小学館)にてロングラン連載中の弘兼憲史氏による大ヒット漫画『黄昏流星群』だが、ネット上では「正直期待外れ。
安っぽいドラマになってる」と、手厳しいコメントが上がっている。初回と2話は7.3%と同じだったものの、最終話にかけて上向きになれるのだろうか?

 ワースト2位も禁断の恋を描いた『中学聖日記』(TBS系)で、初回視聴率は6.0%だった。有村架純演じる中学校教師・末永聖が、教え子の黒岩晶(岡田健史)に惹かれていく物語で、かわかみじゅんこ氏の同名漫画が原作となっている。放送前から注目を集めていた同作は、第1話終了後に「悪評が多いけど面白いと思った」「設定が無理!」と賛否両論を呼んでいる。前クールの綾瀬はるか主演『義母と娘のブルース』は初回11.5%スタートで、最高視聴率は19.2%にまで跳ね上がったが、『中学聖日記』は1話・2話と6%台のため苦戦が続きそうだ。

 秋ドラマの初回視聴率最下位は、唐沢寿明主演の社会派ドラマで、5.2%を記録した『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系)。
こちらは月曜午後10時台に放送され、今年4月に始まった同局のビジネスドラマ枠「ドラマBiz」の第3弾。仲村トオルが主演を務めた前クールの『ラストチャンス 再生請負人』は初回6.1%で同じくワースト1位に。全8話の平均は4.9%で終わり、視聴率ランキングでも最下位だった。

 一方でテレ東は、金曜8時枠の寺島進主演『駐在刑事』が初回10.1%と2ケタで発進。14年に2時間ドラマ枠「水曜ミステリー9」にて放送後にシリーズ化され、4作を経て17年にもスペシャルドラマとしてカムバックしていた人気作で、地上波の連ドラは初主演となる寺島だが、前クールの小泉孝太郎主演『警視庁ゼロ係 ~生活安全課なんでも相談室~ THIRD SEASON』の初回8.8%を超え、快挙ともいえる好成績を打ち出した。

 ワンツーフィニッシュを決めたテレ朝のドラマは、沢口靖子主演『科捜研の女 season18』も初回13.4%を獲っており、このまま『相棒』と『リーガルV』が好調な数字をキープできれば、平均ランキングでのベスト3位独占も有り得そうだ。


【2018年秋ドラマ(午後8~10時台、民放5局)初回視聴率一覧】

1位『相棒 season17』(テレビ朝日系・水曜午後9時) 17.1%
2位『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系・木曜午後9時) 15.0%
3位『SUITS/スーツ』(フジテレビ系・月曜午後9時) 14.2%
4位『下町ロケット』(TBS系・日曜午後9時) 13.9%
5位『科捜研の女 season18』(テレビ朝日系・木曜午後8時) 13.4%
6位『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系・土曜午後10時) 11.8%
7位『獣になれない私たち』(日本テレビ系・水曜午後10時) 11.5%
8位『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系・金曜午後10時) 10.4%
9位『駐在刑事』(テレビ東京系・金曜午後8時) 10.1%
10位『今日から俺は!!』(日本テレビ系・日曜午後10時30分) 9.8%
11位『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系・火曜午後9時) 7.6%
12位『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系・木曜午後10時) 7.3%
13位『中学聖日記』(TBS系・火曜午後10時) 6.0%
14位『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系・月曜午後10時) 5.2%