高橋一生、『僕らは奇跡でできている』が初主演作として“ある意味”成功といえる理由

高橋一生、『僕らは奇跡でできている』が初主演作として“ある意味”成功といえる理由

 今のテレビドラマで注目を浴びるのは主役よりも脇役である。物語も、1人の圧倒的なスターが活躍するものは減り、複数の登場人物が描かれるものへ移行している。

そんな時代に、脇役から人気俳優として躍り出たのが高橋一生。現在37歳で、1990年に映画『ほしをつぐもの』で子役デビューを果たしたキャリアの長い俳優だ。スタジオ・ジブリのアニメ映画『耳をすませば』で、ヒロインがあこがれる男の子・天沢聖司の声を演じたことでも知られている。2001年からは劇団扉座に入団し、舞台で活躍する傍、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)や、岩井俊二の映画『リリイシュシュのすべて』などさまざまな作品に出演。名バイプレイヤーとして知る人ぞ知る存在だった。

大きな転機となったのはテレビドラマ『民王』(テレビ朝日系)だろう。本作は総理大臣が、息子の心と体が入れ替わってしまったことから起こる混乱を描いた政治コメディだ。高橋は総理大臣の第一秘書・貝原茂平を演じ、スーツが似合う優秀な秘書だが毒舌家というクールなキャラで人気を獲得し、本編終了後には貝原を主役にしたスピンオフドラマ『民王スピンオフ~恋する総裁選~』まで作られた。

この作品でコメディ俳優としての評価も高まった。高橋の演技は淡々としているが、時々変な顔をしたり、過剰に首を傾げて相手を見るようなことをする。それが妙な“間”となり、見ている側はだんだん癖になってくる。普段のシリアスな演技がしっかりしているからこそ、少しズラした時に笑いが生まれる。一見地味だが、細かいところで変な芝居をしている高橋に気づくと、「私が見つけた。私だけが彼の魅力がわかる!」という喜びが生まれ、それがコアなファンの急増につながったのだろう。

 この『民王』以降、高橋の人気は高まっていく。17年に放送された坂元裕二脚本のドラマ『カルテット』(TBS系)では、男版不思議ちゃんとでも言うべき愛すべきダメ男・家森諭高を演じ、その人気は決定的なものとなる。同年には、大河ドラマ『おんな城主 直虎』、連続テレビ小説『わろてんか』(ともにNHK)、そして月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?』(フジテレビ系)と立て続けに出演。雑誌「an・an」(マガジンハウス)ではセクシーグラビアも披露し、まさに“高橋一生イヤー”と言っても過言ではない活躍だった。
 
 だが、それだけに今後の展開が大変だろうとも感じていた。普通に考えれば、次は主演作が回ってくるポジションだが、『民王』も『カルテット』も脇役だからこそおいしい役柄だったからだ。

◎『僕らは奇跡でできている』

主演を演じることは、高橋の武器を封じることになる。同じように、『カルテット』に出演して人気が爆発した吉岡里帆は、主演女優にステップアップしたが、どの作品も苦戦している。脇役で目立った俳優が主演に転じることはチャンスであると同時に、今までのキャリアを台無しにしかねない危険な賭けなのだ。

今の高橋には演技力に裏付けされた確固たるキャリアがある。だったら、脇に徹した方がいいのではないかと思っていたが、そんな中、主演ドラマ『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)が始まった。

 本作で高橋が演じるのは、大学で動物行動学を教える相河一輝。動物のこととなると我を忘れてしまう変人で、好き勝手に行動しては周囲を振り回す。しかし、そんな相河の純粋さに、周囲はだんだん感化されていく。脚本は、ヒューマンドラマ『僕が生きる道』(同)等の「僕シリーズ」で知られる橋部敦子だが、感動的なトーンは若干控えめで、相河という、かわいいおじさんの姿を見て楽しむコメディテイストの方が強い。

 平均視聴率は初回7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、それ以降も6%台と苦戦していて、主演としては厳しい評価となりそうだが、相河という役柄が高橋のイメージとうまくマッチしているので、見ていてつらくなることはない。

 一方で、吉岡の主演作がつらいのは、真面目で純粋な女性といった単調な役柄ばかりで、脇役時代に魅力的だった複雑で繊細な内面を表現する姿が封じられているからだ。同じように、現在『忘却のサチコ』(テレビ東京系)に出演している高畑充希は脇役から主役へと移行し成功したが、それと引き換えに脇役時に魅力だった演技の繊細さを失いつつある。

しかし、高橋は主演になっても“高橋一生”のままである。性別や年齢の違いもあるだろうが、主演だからといってイメージと違う役に起用されなかったのは救いである。残念ながら本作は、面白いけど視聴率が追いつかなかった作品という評価になると思う。しかし、高橋自身のキャリアは傷つかないだろう。ブランドイメージを守るという意味においては成功作だ。
(成馬零一)

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