ジャニオタ的見どころが満載だった、7月13日放送の『音楽の日2019』(TBS系)。
特に注目となったのは、嵐の初登場。
そして、もう一つの大きな柱となったのは、言うまでもなく滝沢秀明氏のジャニーズJr.プロデュース企画だ。滝沢氏による故・ジャニー喜多川氏への追悼の手紙を中居が代読した後、Snow Manのパフォーマンスと、HiHi Jetsによるローラースケートでの「心臓破りの坂」上り、Snow Man+HiHi Jetsらによる「腹筋太鼓」が披露された。
「腹筋太鼓」といえば、舞台『滝沢歌舞伎』の名物であり、上裸で寝そべり、腹筋を見せながら太鼓を打ち鳴らすというもの。本来は舞台に足を運ぶ人だけが、その迫力を間近で体感できる「有料コンテンツ」なわけだが、それをテレビの前で無料で見られるというのは、出血大サービスの試みである。
実際、Twitterのトレンドにも「腹筋太鼓」がランクイン。ジャニーズファンの間でかなりの盛り上がりを見せたわけだが、その一方で、世間一般の引いた目で考えてみると、気になってしまうことがたくさんあった。
なにせジャニーズJr.だけの企画で15分9秒。この長尺を、世間的にはわからない人たちに割き、Perfumeなどの有名アーティストは第2部に回されている。しかも、同じジャニーズ事務所のA.B.C-ZとジャニーズWESTは、なぜか恒例の第2部行き。第2部には、総合司会の中居も安住紳一郎アナウンサーもいない。
まるで法事でよく知らない親戚が大量に集まるときに、その家の子どもたちがスリッパ出しをしたり、用意や片付けをする合間に、台所の隅で残り物を食べさせられるような冷遇ぶりだ。
よく知らない一般人が『音楽の日』を見たら、まさかSnow ManらがデビューしていないジャニーズJr.で、A.B.C-ZやジャニーズWESTの方がデビュー組だとは思わないのではないか。そして、営業力抜群の滝沢氏がJr.を率いていく限り、こうしたデビュー組との逆転現象は、今後ますます進むのだろうことを、あらためて感じてしまった。
また、「腹筋太鼓」を先輩方が見守る図が、まるで授業参観日のようで、非常にシュールで面白かったことも話題になっていた。そんな中でも、気になって仕方なかったのは、一番ノリノリで、なんなら仲間に入ってみたそうだったKAT-TUN・上田竜也と、まるで全員が我が子であるかのように誇らしげに手を叩いて「身内感」をアピールするA.B.C-Z・河合郁人。滝沢氏の勢力が広がる中、その右腕のようにJr.たちをまとめる河合の事務所内地位が、今、かつてない高みに来ている気がする。
ところで、個人的に一番グッときてしまったのは、KinKi Kidsと中居の絡み。KinKi Kidsを「元KANZAI BOYA」とイジる中居、SMAPのバックをした頃の思い出を語る堂本光一、中居の手の叩き方が古いとイジる堂本剛の3人の様子を見ていると、大量のジャニーズが出演しているにもかかわらず、ここだけが中居の「ホーム」なのではないかと感じてしまった。
何より驚いたのは、KinKi Kidsが「Hey!みんな元気かい?」を歌うとき、中居の傍らで安住が泣きそうになっていたこと。ネット上では、「安住さん泣きそう」「安住さん泣きそうな顔してるのはなぜ?」「泣きそうな安住さんを見て泣きそうになってる」「安住アナも泣きそうですよね? 中居くんの心情を思ってのことなのかな?」といった反応が相次いだ。
実は安住は意外にも涙もろいタチで、『2017年レコード大賞』で、つばきファクトリーが最優秀新人賞を受賞したときの涙につられ、もらい泣きしたことが話題になった過去があるほど。
しかし、今回の場合は、一体どんな涙だったのか。剛の突発性難聴など、さまざまな事情を抱えつつも二人が心を合わせてギターを弾き、楽しそうに演奏する姿に心打たれたのか。それとも、ジャニー氏の逝去に、誰よりショックを受けている一人のはずなのに、涙を流すこともできない中居の心情を慮ってのことか。あるいはそんな悲しみの中で笑顔を見せる3人の平和そうな姿に対してなのか。それとも、KinKi Kidsの楽曲と声が醸し出す、切ない青春のニオイに胸がいっぱいになったのか。
真相は明かされないが、唇を震わせながら泣きそうになるのをこらえ、わざとおどけてみせる安住の顔に、うっかりもらい泣きしそうになった。
(南山ヒロミ)