元女囚が考える、米富豪の首つり獄中死――アメリカなら「自殺」...の画像はこちら >>
 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ロリコンで不死願望のセレブにびっくり

 大富豪でロリコンで、オジイやけどまあまあイケメン……ちゅう映画みたいなセレブが買春でパクられて(逮捕されて)、獄中自殺する事件があったそうですね。

 日本ではあんまり話題になっていませんが、このセレブは「未成年の貧しい女の子」に「性的なマッサージ」をさせるのが好きで、以前もパクられているそうです。これだけならただの変態ですが、オジイはトランプ大統領やクリントン元大統領、イギリスのアンドリュー王子などとも親しかったそうで、むしろこっちが問題のようです。

 しかもオジイは「不死」にも力を入れていたそうで、「いっぺんに20人くらいの女を妊娠させたい」とか、「自分が死んだら、俺の頭とチン〇を冷凍保存しろ」とか言うてたそうです。こうゆうのは貧乏人には思いつかないです。

 でも、自殺して司法解剖されたんですから、もう保存はムリでしょうね。自殺ではなく、ほかのセレブとの関係がバレないように、口封じで殺されたのではないかとも、いわれているんですね。

■自殺と絞殺の「首の骨の折れ方」

 ここで、やっと本題です。ムショで「自殺に見せかけて殺せるか」ちゅうことですね。

 オジイは、首の骨が何カ所か折れていたそうで、「首つり自殺で首の骨が何カ所も折れることはないからアヤシイ」んですね。ニュースでは、舌骨も折れていて、これは絞殺の場合に折れることが多いそうです。こわい……。

 最終的には、アメリカの検視当局は「自殺」と断定しましたが、そもそも獄中で首はつれるのでしょうか? 答えはイエスですが、相当苦しいと思いますよ。

何回か書かせていただいてますが、ムショや拘置所では自殺と脱走が最大のタブーです。トラブルを起こしたら、所長以下、幹部の出世に関わりますからね。

 でも、未遂を含めれば、けっこう起こっています。原因は、つらいから。獄中でのいじめや人権を無視した処遇だけやなくて、ヒマやからいろいろ考えてしまうんです。

 「家族や友だちに迷惑をかけてしまった……」とか、「これからの生活はどうしよう?」とかですね。

私も、つらくて死にたくなったことがありました。ホンマにムショは行くところやないです。

 もちろん施設では、自殺や脱走の防止のために、いろんなものを制限します。たとえば拘置所は私服なのでパーカーも着られますが、ヒモはNGですし、ネクタイもベルトもダメ。それにスニーカーなど走りやすい靴は履けません。ムショも含めてみんな「トイレサンダル」です。

 それでもシャツの袖や靴下を首に巻きつけたり、ティッシュをのどに詰めたり、裸足で逃げ回ったりと、いろいろと工夫(?)するんですね。

 和歌山カレー事件の林眞須美は、未決(刑事裁判の判決が確定していない)の時に、拘置所でくぎをのみ込んで自殺未遂騒ぎを起こしていますし、私がいた施設でも針をのみ込んだ人がいました。あとは、便器に顔を突っ込むとか、処方してもらった睡眠導入剤を飲まずにためておいて、一気に飲む方法とかもあります。どれも苦しそうですね。尼崎事件の角田美代子も、同房者がいてるのにシャツの袖を首に巻きつけて死んでました。他殺説もありましたが、やっぱり日本のムショや拘置所では自殺に見せかけて殺すのは難しいと思います。

 アメリカは……どうでしょう?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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