今年も間もなくやって来るバレンタインデー。街を歩けば、さまざまな新作チョコレートの広告が目に入り、甘いもの好きには心躍る時期だろうが、一方で「チョコ=太る」というイメージも強いだけに、ダイエット中という人には「目の毒」と言えるかもしれない。
しかし最近、チョコを「ダイエット中のおやつに最適」とする説を目にする機会はないだろうか。チョコに含まれる栄養素が体にいいとも言われ、チョコ党の人には喜ばしい情報だが、果たしてその実際はいかに? 今回、管理栄養士の岡田明子さんに話をお聞きした。
「チョコはダイエットにいい」は「積極的に食べよう」ではない!?
そもそも、なぜチョコが「太る」と言われているのかといえば、栄養素に「脂質」と「糖質」が含まれているからだろう。しかしそのほかにも「体にいい」とされる特徴的な栄養素があるという。
「まず代表的なのがポリフェノール。これは活性酸素を減らす抗酸化物質で、体が錆びるのを抑える効果が“ある”……とまでは断言できないものの、“期待はできる”ものです。
チョコと一口に言っても、脂質と糖質だけではないということがわかるが、「ダイエット中のおやつに最適」という説を、岡田氏はどのように捉えているだろう。
「『ダイエット中のおやつに~』と言われているのは、全てのチョコではなく、カカオ含有量が80%以上などのカカオ量の多い苦いチョコを対象としている場合でしょう。あくまで、『ダイエット中でもチョコがどうしてもやめられない人は、カカオ量の多いチョコを食べるといい』という話で、『ダイエットにいいらしいから、いっぱい食べていい/食べた方がいい』ものではありません。
よく「ナッツ類は美容・健康にいい」と言われるが、「これも同様で、食べすぎてカロリーオーバーになり、太ってしまったという人が結構います。『食べすぎないこと』が大事なんです」という。
では、チョコの「太りやすい食べ方/太りにくい食べ方」というのは存在するのだろうか。まず選ぶ種類について、「先ほども少し触れましたが、カカオ量が多いものは、一般的なチョコに比べ、太りにくい」と岡田氏。
「なので、一般的なチョコの方が太りやすいと言えますが、中でも、例えばアーモンドが入っているものは脂質が、ウエハースやクッキーと一緒になっているものは、糖質が増えるので、さらに太りやすくなってしまいます」
最近では、チョコの中にコーンフレークやフルーツなどを練り込み、「ビタミン」や「食物繊維」などが豊富に配合されているとアピールするチョコも多く、あえてそういったものを選ぶ人も少なくないが……。
「ビタミンや食物繊維が増えた分、脂質や糖質も増えていることも考えられます。
また、甘いものを食べると多幸感を得られることから、チョコには「エンドレスで食べてしまう」という特徴も。そのため、「小袋にしてある、また板チョコなどを選ぶのは、食べる量が決めやすく、『エンドレスに食べてしまう』ことの防止にもなるので、太りにくい食べ方と言えるのではないでしょうか。逆に食べる量を決めにくいものを選ぶのは、太りやすい食べ方につながると言えるかもしれませんね」とのこと。
さらに、食べる時間帯や食べ合わせにも、「太りやすい/太りにくい」があるという。
「よく言われることですが、夜寝る前は太りやすいです。日中の時間帯……例えば、午後3時の“おやつの時間”に食べる方が、寝る前に比べれば太りにくくはあります。なぜかと言うと、日中は活動している時間帯だけに、摂ったカロリーを消費しやすいから。寝る前だと、カロリーが消費されず、吸収されてしまうんです。また温かい飲み物を飲むと胃が落ち着くので、日中にチョコを食べるにしても、一緒にホットのブラックコーヒーやお茶などを飲むと、食べすぎ防止につながり、太りにくい食べ方になります。なので、逆に言うと、チョコだけを食べるというのは、食べすぎにつながり、太りやすい食べ方と言えるのではないでしょうか」
たとえ高カカオのものでも、チョコは決して痩せやすくなるための食べ物ではないことがわかったが、「そもそもお菓子というのは太るもの」とズバリ指摘する岡田氏。
「チョコは、栄養素を見てみると、やはり『脂質と糖質のかたまり』であることは確かなんです。同じく、『脂質と糖質のかたまり』であるクッキーと比べると、ダイエット中に同じ量食べるなら、『高カカオのものに限り、まだチョコを食べておいた方がいい』のかもしれません。ただ、『ダイエット中のおやつに最適』と言われている、ドライフルーツや干し芋、ナッツと比べると、これらは『食物繊維が豊富』なだけに、同じ分量を食べるのであれば、チョコよりもダイエットに適していると思いますね」
「何にせよ食べすぎたらダメですよ」と念を押す岡田氏。「チョコはダイエットにいいらしい」を妄信しすぎないように気を引き締めたいところだ。
岡田明子(おかだ・あきこ)
管理栄養士。一般社団法人「NS Labo(栄養サポート研究所)」代表理事。