『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信)公式サイトより

 『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信)公式サイトより 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。

そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、3月前半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

社長、クリスマスパーティーで無視される(テラスハウス第35話)

 メンバー全員が揃ったクリスマスパーティーでのこと。和やかな雰囲気の中、IT企業社長である「社長」こと俊幸は、突然「はい、じゃあ一番簡単なゲームやります」と言い出す。取り出したのは、ひと昔前の合コンで用いられていたような、ゲスなカードゲーム。

 誰もノッてこないが、社長は有無を言わせず「はい引いて。まだ見ないで。いっせーのせ! で開けます。

いっせーのせ!」と取り仕切る。カードの指示通り、ハリウッド女優志望・ビビの耳に息を吹きかけ、一人はしゃぐ社長。

 ほかのメンバーはというと、引いたカードに無視を決め込み、大学生モデル・志遠は「夢さん、ちょっとプレールームに……」と、社長がロックオンしている会社員兼グラビアモデル・夢を誘って中座。スタンドアップコメディアン志望・快も、気になっている女子プロレスラー・花と男子部屋に行ってしまう。

 社長なりに盛り上げようとしたのかもしれないが、あまりに悲しい結果に。あれほどきれいに全員から無視されてもキレたりしない社長は、キモくても、穏やかな人物ではあるのかもしれない。

社長、待ちぶせて腹筋(テラスハウス第35話)

 社長は、夢がカードゲームを無視し、志遠とプレイルームに行ってしまったことで気もそぞろに。二人を追いかけ、プレイルームのドアの前で聞き耳を立てる。しかし会話は聞き取れなかったのか、深刻な表情のままポケットに手を入れ、夢が出てくるのをドアの真ん前でじっと待つ。

 黄色のサンタ帽をかぶり、首からはキラキラのモールを下げた格好のまま、薄暗い廊下に立ち尽くす姿はホラー映画から抜け出たようで、35話のタイトル「廊下のモンスター」そのものだった。

 夢と志遠が出てくるなり、にこやかに「こんばんはー。ちょっと行こうよ」と夢をプレイルームに押し戻すモンスター。そのまま、やや強引にドライブデートの約束を取り付けると、いきなり「腹筋したくなってきた」。

夢に足を押さえてもらうと腹筋運動を始め、「アッ……いいねいいね! 効いてる、いいよいいよ。やばいやばい、イイ感じ、気持ちいい……」と勝手に恍惚としていく。そこで35話は幕を閉じ、社長のキモ面白さを象徴する素晴らしいシーンとなっていた。

 クリスマス当日の夜、レインボーブリッジ方面にドライブをすることになった社長と夢。夢が「初めて車で迎えに来てもらった」と言うと、「マジで? バージン奪ったね!」と社長。「レインボーブリッジ通ったことない」にも、「レインボーブリッジバージン、奪えて良かったわ」。

 社長がよく使う言葉「グルテンフリー」「カゼインフリー」「競合他社」「〇〇っしょ」「〇〇っつって」に、新たに「バージン」が加わった。

社長、もうキス(テラスハウス第36話)

 ドライブの後、イルミネーションに囲まれたひと気のない場所に夢を誘いこんだ社長。「ささやかなんだけど」と、「ジョー マローン」の指で塗るタイプのリップクリームをプレゼントする。

 このあたりから視聴者には悪い予感がしていたが、社長は案の定、「開けてみて。めっちゃ潤うらしいよ。つけてみて」と、その場で即つけることを強要。「じゃあ俺が塗るよ。

めちゃめちゃに潤うらしいからさ」と自らの指で夢の唇にベタベタと塗り出し、「ごめんね、めっちゃついちゃったね」などと言いつつ顔を寄せ、悪い予感が的中し、キスした。「分け合いっこしたね☆」と微笑んだ顔は、コメディーでありホラーだった。

動じない夢の清々しさ(テラスハウス第36話)

 夢は、社長からのキスに「突然じゃない?」と笑っていたものの、特に動じるわけでもなく、その直後に自ら「写真、撮りたくないです?」と提案。社長と頬を寄せ合い、笑顔で自撮りしていた。

 女子部屋でキスを報告したときも、「びっくりした。嫌ではない、でも別に好きとはならない。

まだ(出会って)1週間ぐらいだからさ」と、あっけらかんとしている。

 後日にも、社長から食べかけのキウイを差し出され、特に拒絶せず食べた夢には、どこか“プロ”な感じが漂う。34話で卒業してしまった大学生(休学中)・愛華がキス後にかましたセリフ、「恥ずかし~、ヤダ、あんな男慣れしてるみたいな雰囲気だしといてさ、全部がバレる!」のわざとらしさと比べると、夢のプロっぽさは清々しくもある。

 35話で、お互いの気持ちを確かめ合った快と花。「ごめん、普通にしゃべんなきゃダメだよね」と照れる花に、微笑みながら「いや別に全然、花でいていいよ」と返す快は、モンスター社長との対比も加わって、他人の気持ちを考えられる優しい人間に見える。

 だが優しすぎるゆえ、花と二人で行く約束だった水族館デートに、社長が「俺ら(俺と夢)もジョインしようかな」と言い出しても、「いいね」と承諾してしまう。さらに「いや泊まるっしょ」という社長の意向により、いつの間にか、京都への泊まりデートになっている。

 快自身は、優しさがコメディアンとしての弱みだと感じているようで、「もうちょっと、いかつい思考になりたい。ほんわりしてる、自分。優しすぎる。だからこそ坊主にしたい」と言い出し、長髪だった頭をバリカンで丸めてしまった。優しき坊主の快&モンスター社長の率いるお泊まりデートはどうなるのか、次回を楽しみにしたい。