『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信)公式サイトより

 Netflixで配信中の人気リアリティ番組『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(以下、テラハ)。今シーズン開始当初は、「クリエイティブで前向きな住人が揃っていたこともあり、シリーズの中でも屈指の爽やかな展開を見せていた」(芸能ライター)という。

しかし、開始から10カ月が過ぎると顔ぶれもすっかり変わり、今では欲望が渦巻く空間になっているようだ。

 現在の住人は、プロレスラーの木村花、モデルの「ビビ」ことラズドゥミナ・ヴィオレッタ、大学生でモデルの鈴木志遠、会社経営者の「社長」こと新野俊幸、会社員でグラビアモデルの吉田夢。最新の第39話では実業家の金尾玲生が新メンバーになった。

 長年のテラハファンは、社長と夢の入居によって、テラハの雰囲気が大きく変わったと語る。

「社長は周りを巻き込んでグイグイ引っ張っていくので、見ていて飽きないのですが、欲望が行動に露骨に出てしまうんです。社長が思いを寄せている夢は、昔のイエローキャブのグラドルみたいというか、男の目線を意識したあざとさがある子。

テラハ特有の気取った感じがなくなって下世話な空間になってしまった」(テラハファン)

社長、「ビンスイ」をビジネスに利用

 テラハファンの間で物議を醸したのが、社長と夢の初対面シーン。ほかのメンバーを出し抜いて、夢の帰りを薄暗いダイニングで待ち伏せる社長は、「闇にまぎれて獲物を狙う野獣のようでした」(同)という。

 偶然居合わせたふりをして、初対面の挨拶をしつつ、夢の胸元に釘付けだったという社長は、伝説となった「ビール瓶事件」を起こす。

「社長が渡した瓶ビールを口にする夢を、舐め回すように眺めていた社長は、自分も飲みたいといってその瓶を手にするんですが、欲望が顔ににじみ出ていて、下心が見え見えなんですよ(笑)。社長は瓶の口を上唇と下唇で挟んで、吸い取るようにしてビールを飲む。その様子を見たスタジオメンバーの女性陣からは、悲鳴が上がっていました」(同)

 そして社長には「瓶吸い=ビンスイ」というあだ名がつくことに。

ネットでは社長に対して「キモい」といった声が圧倒的だったが、当の社長は、SNSのアカウント名を「新野・ビンスイ・俊幸」に、また壁紙も瓶を吸う自分のイラストに変更。こうした世間の声を利用するメンタルの強さに「逆にファンになった」「社長が気になってしょうがない」という声が増え、業界関係者も「社長は周到に計算して動いている」と注目しているようだ。

「社長は、退職代行を行う会社を経営しているのですが、自社のイメージすら傷つけかねない振る舞いをしている。しかし、SNS上では『#ビンスイチャレンジ』というハッシュタグまで生まれ、社長をまねて瓶を吸う画像がこぞってアップされる謎のムーブメントが発生しています」(放送作家)

 まさに“機を見るにビン”。その極めつきが、「3月末にオープンしたオンラインストア『新野商店』です。ビンスイTシャツ、ビンスイパーカーを期間限定販売して、あっという間に完売させました。

ここまで商魂たくましいと感心しますね」(同)という。ネット上でも「ビンスイパーカーは家宝」「なぜか買ってしまった」と予想外の好評を見せている。

 一部からは強い支持を得るようになったという社長。しかしその半面、やはり社長への批判は根強く、回を重ねるごとに「社長の行動が目に余る」という声も出てきているという。

「社長の『おっぱい基準』で女性を選ぶという発言のほか、夢への接し方に対する批判が強いです。社長は、夢との最初のデートでキスできたことから、テラハメンバー4人で訪れた京都旅行中にも、拒絶する夢に対し『前はさせてくれたじゃん』と執拗にキスを迫っていた。

その姿が『性強要にしか見えない』と物議を醸したんです」(前出・テラハファン)

 こうした社長の言動は、「ハラスメントをなくそうとする社会に逆行する」(前出・放送作家)との指摘もある。ネットでも、「社長は調子に乗りすぎ」「セクハラでしかない『ビンスイ』をネタにすること自体がおかしい」「こんな人が退職代行の仕事をしてるなんて信じられない」など厳しく批判する声も増えてきている。前出の放送作家は、第38話で、スタンドアップコメディアンを志す快(第39話で卒業)に対し、花が暴言と暴力行為を行ったことをそのまま流したことも含めて、「テラハがセクハラとパワハラの温床と言われても仕方ない状態」と語る。

 最新話では、湘南出身の新メンバー玲生の登場によって、再び爽やかな風が吹き始めたかに見えるテラハだが、実業家同士とあって、早くもマウントを取ろうとする社長の言動がまたも批判されている。

「これからも社長はテラハをかき回すでしょう。ちなみに最新話では、“カメラ目線”までやっていました。

カメラがあっても見ないふりをするという番組当初からのコンセプトを社長がぶち壊しにかかってきているのです」(同)

 社長は、現代をたくましく生きる敏腕ビジネスマンなのか、古めかしい価値観の残念な経営者なのか……テラハの展開とともにますます社長から目が離せそうにない。