ジャニーズのダンスが、変化の時を迎えている。以前よりもダンスが身近なカルチャーとなった今、ジャニーズでも事務所入所前からストリートやダンススクールでスキルを磨いてきた人材も増えてきた。

ファンの目もどんどん肥えていっている中で、ジャニーズのダンスはどうアップデートされているのか? 前回に引き続き、プロのダンス講師をお招きして、Hey!Say!JUMP、Snow Man、King&Prince、Travis Japanといった若手4組のダンスを分析してもらった。プロのダンサーの先生に若手のダンスを分析してもらう短期集中連載、最終回はJr.のTravis Japanを取り上げる。

第4回:Travis Japan「Lock Lock」(振付:千賀健永)

――Travis JapanはまだデビューしていないJr.内グループのひとつです。今年2月には『ミュージックステーション』(テレ朝系)に初単独出演を果たし、売りであるシンクロダンスを披露して話題になりました。

先生 たしかにシンクロ率がすばらしいです! ダンスをしっかりシンクロさせるのは本当に難しいんですよ。個人個人が“自分”を出さないこと、そして鏡がない場所でも合わせられるように角度や立ち位置を体に染み込ませることが必須で、細かい作業が必要になります。

それを見事にやりきっていますね。

――昔、K-POPにINFINITEというグループがいて、彼らが「シンクロ率99.9%」というキャッチコピーを付けられていたことを思い出しました。シンクロするダンスは見ていても本当に気持ちいいんですが、実際踊る人はそんなに大変なんですね! でもそれができるTravis Japanは、やはり個々のメンバーのスキルが高いということなんでしょうか。

先生 ジャニーズじゃなくてダンスチームの子たちといわれても納得するくらい、全員が上手です。なかでも宮近海斗くんは、動きを揃えながらも自分を出すのがうまい。さすがセンターですね。

トラジャだけでなく、ここまで4組を見てきて、本当に踊れない子が全然いなくて驚きました。日本のダンスのレベルがここまで上がっていることに感動します。講師として教えていても、かつては「LDHとK-POPは観るけど、ジャニーズは観ない」というダンサー志望の子が多かったのが、今は変わってきているんですよ。

――となると、トラジャで1番ダンスが上手いのは……

先生 やっぱり宮近くんですね。音の取り方もいいし、前回「小柄な人は動きのキレが良く見える」という話をしましたが、宮近くんはまさにそのタイプ。キレが良く、周りのメンバーときちんとシンクロしながらも彼にしかない持ち味、個性も活かされている。

アイドルとしてのキャラクターは存じあげないんですけど、「ダンサー」としてのポテンシャルをビンビンに感じますね。

――実は今回担当のライターと編集の2名も満場一致で宮近くんのダンスが1番すごい! と盛り上がっていました。ちなみにこの曲、振付は先輩であるKis-My-Ft2の千賀健永くんが担当しています。前回のSnowManでは「プロの力を借りたほうがいい」という話がありましたが、こちらはどうですか?

先生 すごく良いです。曲の中でテンポの速い箇所でしっかり動きも合わせたり、動く・止まるのバランスだったり、構成もつっこみどころがありません。プロの振付師じゃないのに、千賀くんはすごいですね。

フォーメーションを考えるには、空間と人物を立体でとらえる能力が必須ですが、それがきちんと備わっているのを感じます。

――プロのお墨付きが出ました! 

先生 強いて改善点があるとすれば、ジャニーズっぽさがほとんどない点でしょうか。新しいものを取り入れながら、曲によっては従来のジャニーズらしさも恥ずかしがらずにしっかり表現しているのが、今のジャニーズの若手のダンスの良さだと思うんです。ひたすらかっこいい方向に振り切るのも悪くないですが、ジャニーズっぽさと今っぽさが融合するともっと面白くなると思います。そして千賀くんにはこれからも、ジャニーズのコレオグラファーとして活躍してほしいですね! 

<教えてくれた人>
K先生
都内専門学校でダンスを教える30代女性講師。ヒップホップを中心に、ダンス歴は20年。


(文=岩見司)