チーム・バイデンは金正恩の「最大の弱み」を知っている

そして、現在はハーバード大学のシンクタンクであるベルファー・センターに籍を置くパワー氏は、バイデン陣営の外交・安全保障分野のアドバイザーを務めている。

同じくベルファー・センターに在籍し、クリントン政権下で北朝鮮政策調整官を務めたウェンディ・シャーマン元国務次官も、バイデン陣営の外交安保アドバイザーだ。北朝鮮はかつて、シャーマン氏のことを「外交官の仮面をかぶった悪魔」と呼んだことがある。

国務省を退任し、大統領選に出馬していたヒラリー・クリントン元国務長官のブレーンとなったシャーマン氏は2016年5月、米ワシントンDCで行われた朝鮮半島関連セミナーの昼食会で発言し、「北朝鮮で内部崩壊またはクーデターが起こる可能性を想定するのは不可欠であり、韓国と米国、中国、日本が速やかに協議を行うべきだ」と述べている。

筆者は北朝鮮でクーデターが起こる可能性については懐疑的だが、いずれにせよこの発言は、シャーマン氏が金正恩体制の存続に肯定的でない考えを持っていることを示唆しているように思える。そしてその背景にはやはり、オバマ政権が問題視した北朝鮮の人権侵害があるのではないか。

果たして、パワー氏やシャーマン氏がバイデン次期政権でどれだけ重要な地位を占めることになるかはわからない。しかし両氏は、対北朝鮮外交で経験を積んだ専門家である。そして、人権問題で金正恩氏の責任を追及されるのが、北朝鮮にとって最も耐え難いことであるのを知っている。

トランプ大統領を相手にした対話では、核兵器を持つ独裁者として鷹揚に振舞うことのできた金正恩氏だが、今後はそうはいかないかもしれない。

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