
日本ではあまり知られていないが、北朝鮮の観光地は昨年まで、中国やロシアの観光客でなかなかの賑わいを見せていた。ところが北朝鮮政府は、新型コロナウイルス対策で国境を封鎖。人影の絶えた観光地では、現地の人々が困窮を強いられ、一部は栄養失調に陥っているという。
食糧不足の伝えられる北朝鮮だが、それでも依然と比べれば供給量は大きく増え、深刻な栄養失調は貧困層や軍隊の一部、孤児院などに限られるようになっていた。いったい、北朝鮮の観光地で何が起きているのか。
北朝鮮観光のゴールデンコースと言えば、丘の上で光り輝く金日成・金正日両氏の銅像、パリより大きいという凱旋門、地下宮殿のような地下鉄、世界各国の指導者・著名人から贈られた贈り物が展示されている妙香山(ミョヒャンサン)の国際親善展示館など、プロパガンダ臭がプンプンする観光スポットをめぐるものだ。
もちろんそれ以外にも、様々な名所旧跡が存在する。中国人観光客の安・近・短スポットとして人気のある新義州(シニジュ)日帰り観光、東林(トンリム)瀑布などがある一方で、金剛山(クムガンサン)、九月山(クウォルサン)などと言った名山も人気が高い。
そんな名山の一つ、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の七宝山(チルボサン)には、地理的に近い中国の吉林省、ロシアの沿海州から多くの観光客が訪れていたが、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて北朝鮮が国境を閉鎖。観光客が全く来なくなった。