
中国の王毅国務委員(外交担当)兼外相が25日から韓国を訪問する。同氏のソウル訪問は昨年12月以来、約1年ぶりで、新型コロナウイルスの感染拡大以降で初めてだ。
これを受け、韓国の一部で緊張感が漂っている。朝鮮日報は同氏の訪問について、次のように書いている。
「韓米日三角共助を通じた中国に対するけん制の動きを懸念してきた中国としては、米国主導の多国間安保協議体クアッド(Quad)など米中対立懸案に対する中国の立場を説明し、韓国の協力と理解を求めるものと見られる」
この間、韓国政府は中国から様々な「立場の説明」――あるいは「脅迫」――を受けてきた。邱国洪・中韓中国大使(当時)は昨年11月28日に行われたフォーラムで、「米国が韓国本土に中国向けの戦略兵器を配備した場合、いかなる悪い結果がもたらされるか、皆さんも想像できるはずだ」と発言したという。
ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約の消滅を受けて、米トランプ政権が新たな中距離ミサイルの開発と配備を打ち出したのは周知のとおりだ。その標的は中国とロシアであり、配備候補地には日本と韓国も入っていると考えるべきだ。
中距離ミサイルには目標への到達時間の短い弾道ミサイルと、命中精度の高い巡航ミサイルがあり、運用の仕方は様々だ。いずれにせよ、米国製の多種多様なミサイルで包囲されかねない中国の危機感は強い。
中距離ミサイルの配備を求められたとき、韓国はどうすべきか。同国には、これこそは当面の「国難」であると考える向きは少なくないとされる。また最近、対北朝鮮政策などを巡り米韓の間で様々な不協和音が上がったのを受け、米国には同盟に対する韓国の姿勢に疑問を抱く専門家もいるようだ。