北朝鮮の首都・平壌で今月5日から12日まで開催された朝鮮労働党第8回大会で、金正恩党委員長が、総書記のポストに就任した。従来、祖父・金日成主席を「永遠の国家主席」、父・金正日総書記を「永遠の総書記」とし、いずれの肩書も「永久欠番」扱いとなっていた。
その意図を巡っては様々な分析がなされているが、制裁、災害、コロナの三重苦で疲弊しきった北朝鮮国民の関心は、指導者の肩書などよりも生活向上にある。それにもかかわらず、党大会では経済改善に向けた明確な対策が示されず、旧態依然としたスローガンを繰り返すばかりだったことに、各地から不満と失望の声が噴出している。
平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、住民が、党大会の報道を見て、核とミサイル問題に重点が置かれたことにため息をつき、人民(民生)経済の向上に明確な案が示されなかったことに、もどかしさを感じていると伝えた。
金正恩総書記は5年前の前回大会から「人民生活向上の土台作り」を強調し、国家経済発展5カ年戦略を設定していたが、「掲げた目標をほとんどすべての部門で大きく下回った」とし、経済政策の失敗を認めた。しかし今回も具体的な改善策は示さず、「解決策として自力更生というお話にもならない代案を提示した」(情報筋)ことが失望につながっているようだ。
「1980~1990年代(に頻繁に叫ばれていたスローガン)の自力更生を再び持ち出してきたことを見ると、今年も政府ができることはなにもないということではないか」(情報筋)