北朝鮮は、今月から本格的な「田植え戦闘」の開始に伴い、一部穀倉地帯に1ヶ月分の食糧を配給した。深刻な食糧難の中でも、現場の士気を高め、農業生産量を確保する狙いがあるものと思われる。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、配給が行われたのは道内の江西(カンソ)、平原(ピョンウォン)、黄海北道の谷山(コクサン)、新渓(シンゲ)、遂安(スアン)にまたがる平野地帯「ミルボル」、黄海南道(ファンヘナムド)の載寧(チェリョン)を中心とした「ナムリボル」だ。

配給は「田植え戦闘」の始まった今月4日から10日にかけて行われたが、具体的に配給の指示があったわけではなく、「田植え戦闘期間中、住民に仕事ばかりさせず、食の問題も保障せよ」との指示に基づき、行われたものだという。

深刻な食糧難で、各地の農場では、食べるものがなく、仕事に出てこない農民が続出しているのが現状。機械化が遅れ、人の手に頼らざるを得ない北朝鮮農業の現実を考えると、人手不足は生産量の減少に直結する。

(参考記事:「もう食べるものがない」金正恩の足下で響き渡る悲鳴

また、今回配給が行われた地域は、首都・平壌に比較的近い地域で、平壌市民に配給する「首都米」の確保が、市民の忠誠心の維持、体制の安定につながるという判断があったものと思われる。

配給用の食糧の確保は、国からの支援がなく、地方政府に丸投げされることになっているので、今回も平安南道など各自治体がなんとかしてかき集めたのだろう。