今まで頑として国内での新型コロナウイルス感染者発生を認めなかった北朝鮮が、態度を一変させ、発熱患者の発生を認めた。その意図をめぐっては様々な憶測が飛び交っているが、平壌のデイリーNK内部情報筋は、次のように説明した。

「コロナに感染した大学生たちが、1号行事に参加したことが報告された」

1号行事とは、金正恩総書記が参加する行事のことを指す。具体的には金正恩氏が今月1日、先月に行われた朝鮮人民革命軍創建90周年記念の軍事パレードのサポートを行った、平壌市内の大学生、勤労青年と記念写真を撮った行事のことだ。

通常、1号行事参加者には、思想的に問題がないことはもちろんのこと、健康面でも万全であることが求められる。おそらく数日前から隔離され、直前にも検温などの体調チェックが行われたはずなのだが、それをすり抜けてしまったのだ。金正恩氏と感染者が濃厚接触する直前まで追い込まれたことから、コロナ発生を公にして、対応に乗り出したというのが情報筋の説明だ。

北朝鮮のような独裁体制で、最高指導者である金正恩氏の生命の安全は何よりも優先されることだが、それが感染症により脅かされる事態となった。コロナ感染者の発生を公表することは、国民に少なからぬ動揺を与えるが、そのリスクを冒しても責任の追及、原因の把握、再発防止が優先されたようだ。また、効果的な防疫対策を進め、民心の離反を防ぐにも役立つと判断したと思われる。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳