北朝鮮における慢性的な飢餓と発育不全、そして脱北女性を巡る人身売買の凄惨な実態が、当事者の生々しい証言によって明らかになった。元脱北女性のユミン氏(仮名)が北朝鮮関連の専門YouTubeチャンネル「チュ・ソンハTV」に出演し、18歳当時に経験した二度目の脱北と、中国の潜伏先で直面した衝撃的な人身売買の現場について語った。
動画内での証言によると、ユミン氏は最初の脱北の失敗と強制送還、収監施設からの脱走を経て一度は北朝鮮の自宅へ戻った。しかし、困窮を極める家庭環境と再収監への恐怖から、衝動的に再び国境の川を渡った。 身を隠す中、中国人ブローカーに対しユミン氏は驚くべき提案を行う。「数日後には19歳(成人の年齢)になる。私を中国人に売ってほしい。その代金の一部を、北朝鮮に残した家族に届けて商売の軍資金にしてくれ」と懇願したのだ。 命がけの国境越えの末、自らの身体を対価に家族の生存を支えようとする、凄惨な選択だった。 ブローカーは提案を受け入れ、妻を探す中国系男性らとの見合いの場が設けられた。しかし、買い手として現れた男性らは、ユミン氏の姿を見るなり一様に首を振った。男性らは「俺たちは嫁を探しに来たのであって、子供を買いに来たのではない」と腹を立て、取引は不成立となった。 当時18歳だったユミン氏だが、北朝鮮内での深刻な食糧難と過酷な収監生活により発育が完全にストップしており、第三者の目には「13歳程度の児童」にしか見えなかったためだ。人身売買という非人道的な犯罪の現場で、北朝鮮の深刻な人道危機がもたらした「発育不全」という身体的悲劇が、皮肉にも彼女が売られるのを防ぐ結果となった。
ユミン氏は、ブローカーの計らいで中国延吉の教会へと保護され、一命を取り留めることとなった。国際社会は長年、北朝鮮の深刻な食糧難と、中朝国境地帯における脱北女性を標的にした人身売買ビジネスを問題視してきた。今回の証言は、単なる経済的困窮にとどまらず、次世代を担う若年層の身体的成長すら奪う北朝鮮の統治不全と、人権の死角に追いやられた脱北女性たちの凄まじい生存競争の現実を改めて世界に突きつけている。
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