米主要紙が今月に入り、北朝鮮経済の現状を相次いで特集した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は7日付で「世界で最も意外な経済成功物語」と題する記事を掲載。
両紙の記事は、長年にわたり国際社会の経済制裁を受けてきた北朝鮮が、なぜ崩壊を回避できたのかを探る内容だ。記事が掲載されたのは、中国の習近平国家主席による訪朝直前のタイミングだった。
北朝鮮を巡っては、ロシアとの軍事協力拡大や中国との関係改善を背景に、従来の「制裁による圧力」だけでは体制を揺るがせなくなりつつあるとの見方が広がっている。習主席の訪朝でも、北朝鮮の非核化を巡る大きな進展は期待しにくいとの観測が強く、米メディアはその背景にある経済的な変化に焦点を当てた格好だ。
WSJの記事は、平壌の変貌を印象的に描いた。スマートフォンによる決済や配車サービス、中国製電気自動車(EV)の普及、新たな高層住宅街の建設などを紹介し、「世界で最も意外な経済成功物語」と評した。
同紙は、ロシア向け兵器輸出や派兵、中国との貿易回復が北朝鮮経済を押し上げていると分析。韓国銀行の推計として、2024年の北朝鮮の経済成長率が3.7%と過去8年間で最高水準を記録したことも紹介した。記事全体を通じて、制裁下でも国家財政や建設部門が予想以上の活況を見せている点を強調している。
一方のNYTは、「なぜ崩壊しなかったのか」という点により重点を置いた。
2020年の新型コロナウイルス流行時、金正恩総書記は世界でも例を見ない厳格な国境封鎖を実施した。
これらの報道が習近平訪朝に合わせて出てきたのは、「北朝鮮はなぜ非核化交渉に応じないのか」という問いへの一つの答えを示すためでもあるのだろう。ロシアとの軍事協力による外貨収入、中国との安定した経済関係、そして国内統制の強化によって、金正恩政権は以前よりも余裕を獲得しつつある。
もっとも、両紙とも地方の貧困や食糧不足、平壌との格差が解消されたとは評価していない。国家の財政や軍需産業は潤っても、住民生活の改善がそれに比例しているわけではないという留保も付けている。
それでも、習近平主席の訪朝を目前に控えたこの時期に、米国を代表する二つの有力紙が相次いで「北朝鮮経済はなぜ崩壊しなかったのか」を論じた意味は小さくない。そこには、北朝鮮を取り巻く戦略環境が大きく変化し、もはや「制裁強化→経済悪化→非核化交渉」という従来のシナリオが現実味を失いつつあるとの認識がにじんでいる。








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