日本の若者が極右化しているのではなく 革新=リベラルが絶望的に退潮している [橘玲の日々刻々]

       

 極右支持者の信念体系の根本的な特徴は(アドルノによって定式化された)「権威主義パーソナリティ」で、多元主義や平等原則への拒否、攻撃的なナショナリズムの擁護、マイノリティへの差別を特徴とする。また、政治システムに対する不満は、しばしば既存の民主制度やプロセスへの不信につながっている。

 日本でも極右が広がっているのかを検証するには、こうした欧米の定義がどの程度当てはまるのかを実証的に調べてみる必要がある。そこで遠藤氏らは、2014年東京都知事選での田母神俊雄候補の支持層に注目した。

 田母神候補は自衛隊航空幕僚長時代に日本の侵略行為を否定する論文を発表して辞任、その後は保守派の論客として活躍し、極右支持者(ネトウヨ)のアイコンとなった。だとしたら、都知事選前後に行なわれたウェブ調査から田母神候補の支持層の属性を調べることで、日本の「極右」の実態が明らかになるはずだ。

 2014年の都知事選は舛添要一、宇都宮健児、細川護熙の3候補の争いで、田母神候補は「泡沫」と扱われたが、おおかたの予想を超える60万票以上(全体の12.6%)を集めてマスメディアや政治学者・知識人らを驚かせた。出口調査の結果はさらに衝撃的で、20代の投票者は舛添候補の36%に次ぐ24%もが田母神候補に投票したとみられる。こうして、若者は「保守化」どころか「極右化」しているという話になっていった。

 実際、保守か革新かのイデオロギー質問(0が革新、10が保守の11件尺度)で、保守側の端の2値(9と10)を「極右」としてまとめると、全体のおよそ10%がこのカテゴリーに入るが、田母神投票者では22.5%とその割合の高さは際立っている。田母神投票者のイデオロギー自己位置の平均値は6.6で、他の3候補と比べればかなり保守側に寄っている(舛添投票者5.8、宇都宮投票者4.3、細川投票者4.4)。日本社会において田母神投票者のイデオロギー的な立場が(右に)急進的であることは疑いない。

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2019年3月14日の経済記事

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