都政レベルでも国政レベルでも、田母神投票者が舛添投票者と同様、かなりの満足感を示していることも興味深い。政治システムにもっとも不信を募らせているのは宇都宮投票者で、安倍政権を支持し原発再稼働に賛成する田母神投票者を「極右」の特徴である「抗議票」とすることはできない。
ポピュリズムに関する質問では、田母神投票者は、「もっとも重要な政策決定は、政治家ではなく人々がおこなうべきである」という意見への同意がもっとも「少なく」(43.8%、全体で50.8%)、「一般的にいって政治家は庶民感覚がない」という意見への賛意も同様に「低い」(62.5%、全体で73.5%)。「政治とは究極的に善と悪の闘いである」という意見についてもほとんど差がなかった。ここからわかるのは、田母神投票者はそもそもポピュリストではない、ということだ。
その一方で、「権威ある人々にはつねに敬意を払わなければならない」という意見に対しておよそ半数(49.7%)の田母神投票者が賛成しており、他の投票者より有意に高い。「伝統や慣習にしたがったやり方に疑問を持つ人は、結局は問題をひきおこすことになる」という意見についても田母神投票者の36.6%が賛成しており、これも他の候補者より高い数値を示している。
さらに、田母神投票者の圧倒的多数は「子供たちにもっと愛国心や国民の責務を教えるよう、戦後の教育を見直さなければならない」という意見に賛成で(87.6%、全体で57.6%)、「国旗・国家を教育の場で教えるのは当然である」という意見も同様だ(94.5%、全体で全体で71.9%)。