プロ野球チーム、中日ドラコンズのマスコットキャラクター「ドアラ」が人気だ。球団マスコットとしては異例の著書『ドアラのひみつ』(PHP研究所刊)は、すでに12万部以上というベストセラーとなっている。


 ドアラは1994年に中日ドラコンズのマスコットとしてデビュー。しかし1997年にナゴヤドームへ本拠地を移転した際に、「シャオロン」「パオロン」の2人がメインマスコットとして登場。これにより、ドアラはサブ的なポジションになる。

 メイン2人へのライバル心からか、徐々に個性を発揮。異常なまでのハイテンションでギャグを繰り広げたり、無謀な連続バック転を披露したり――。また、まったくその場の空気を読まない振る舞いなどがドラゴンズファンに支持され、メインの2人とは違った意味で人気者となった。


 しかし、ここからがドアラストーリーの始まり。ドラゴンズの広報担当者がブログにドアラのことを書いたところ、かなりの反応があった。またmixi内でも話題となり、ドラゴンズ以外の野球ファンにも知られる存在となる。

 極めつけは「ニコニコ動画 RC1」をはじめとした動画共有サイトでドアラの動画が掲載されたことだ。チアガールが踊っている傍らで一人棒立ちしていたり、かと思えば急にまったく意味不明のダンスを超高速で繰り広げたり。自由気儘すぎる振る舞いに、野球ファンだけでなく、広く一般にも知られるようになった。


 この密かなブームに目を付けた編集者がドアラの本を企画。著者が球団マスコットという異例の本は、ベストセラーとなっている。ドアラの個性そのままに、なんともいえない脱力感が読者の心を掴んだようだ。

 インターネットから人気が出たアイドルやミュージシャン、キャラクターはいろいろあるが、球団マスコットがこれだけ一般に人気が出るのは珍しいこと。しかも著書まで出版するのは異例中の異例といっていいだろう。ちなみに5月下旬には公式写真集「ドアラ☆チック」(中日新聞社出版開発局編著 PHP研究所刊)が発売予定ということだ。


 今シーズンからは、ナゴヤドームの試合中には毎イニング終了後にドアラが登場する「ドアラにおまかせ」というコーナーもできるなど、ドアラ人気はさらにヒートアップ。プロ野球に興味のない人たちも、ドアラ見たさに球場に足を運ぶようになったといわれており、中日ドラゴンズの観客動員だけでなく、プロ野球全体の人気底上げにも一役買っている。

 プロ野球人気の低迷が叫ばれて久しいが、意外なところに人気回復の兆しが――。他球団のマスコットたちもドアラを見て奮起すれば、新しいプロ野球の愉しみ方が増えるだろう。しかし、はたしてドアラほど個性の強いマスコットが登場するかどうか、気になるところだ。

(三浦一紀)

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