名古屋港イタリア村破綻で露呈した「PFI」の危うさ

 破産管財人による換金処分で、イタリアのブランド品が最大9割引き――。5月10日、「名古屋港イタリア村」で突然開催されたセールに買い物客が殺到し、レジには1時間以上の長蛇の列ができ上がった。経営破綻からわずか3日後の光景である。

 この施設、名古屋市民以外にはなじみは薄かろうが、2005年の愛知万博の来場者を当て込んで急ごしらえされた複合商業施設だ。愛知県と名古屋市が管轄する特別地方公共団体・名古屋港管理組合が土地を貸し出して、開発・運営を民間企業が請け負う方式のPFI(民間を活用した社会資本整備)事業である。

 べネチアを模した建物が並び、運河には本物のゴンドラが行き交う異国情緒溢れる空間は、当初、多くの万博来場者でにぎわっていた。しかし、倉庫が立ち並ぶ名古屋港の外れまで買い物に来る客はそもそも少なく、来場者数は開業時の3割近くにまで落ち込んでいた。

 加えて、この春には、ほとんどの建物が違法建築であることが発覚。救済企業もなく、万事休すとなった次第である。

 一連の破綻劇で明らかになったのは、官と民のもたれ合いである。愛知万博に間に合わせるために建築を強行した運営会社は、「組合も違法は承知のはず」と主張。組合がそれを真っ向から否定する泥仕合が春から続いていた。PFIといえば聞こえはいいが、あまりにもずさんな運営実態は、全国で破綻が相次ぐ第3セクターとたいして変わりはない。

 PFI関連の法整備は1999年になされ、06年度末で136の事業が稼働している。04年に福岡市の温浴施設が破綻しているが、この状況を見る限り、窮地に陥っているのは福岡や名古屋だけではなさそうだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 千野信浩)

■関連記事
・【竹中平蔵が語る】わかり易い行政制度を作って「真の地方分権」を!
・トヨタグループが「パワーポイント」自粛令!?
・北米市場減速に喘ぐ自動車業界 ローン貸し倒れの懸念も
・GDPと景況感がこれほどズレる理由 夏前から「景気減速」本格化か
・ビル・エモットが大胆予測!オバマはマケインに僅差で勝ち大統領に
・リストラとは「会社の贅肉」を落とすこと【マンガ版】餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?

あわせて読みたい

ダイヤモンド・オンラインの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

経済ニュースアクセスランキング

経済ランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2008年5月29日の経済記事

キーワード一覧

このカテゴリーについて

経済、株式、仕事、自動車、金融、消費などビジネスでも役に立つ最新経済情報をお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。