ホンダは本格的にハイブリッド車を普及させるため、シビック・ハイブリッド(230万~280万円)やトヨタ自動車のプリウス(230万~330万円)を下回る200万円以下という価格設定を以前から目指していたが、190万円以下というのは業界関係者のあいだでも想定外、高性能な環境対応車としては自動車市場にそうとうなインパクトを与える。ホンダ社内では「(トヨタの)カローラの客を取り込めるのでは」との声もある。
低価格の秘密はIMAと呼ばれるホンダ独自のハイブリッドシステムにある。ガソリンエンジンをアシストするモーターやバッテリーがプリウスに比べ、軽量でコンパクト。
シビック・ハイブリッドもこのIMAシステムなので量産によるコストダウンが図れ、インサイトにはさらにコストを抑える専用設計を施した。「プリウスに勝る価値はなんといっても価格。そのためにホンダの技術を詰め込んだ」(福井威夫・ホンダ社長)。この価格でも利益は出るという。
デトロイトで行なわれた北米国際自動車ショーでも話題を集め、期待は高まるが、足元を見ると新車販売はまったく底が読めない悲惨な状況だ。
加えて、ハイブリッド車にとっては追い風だったガソリン高も、今はどこ吹く風。米国での発売は4月以降だが、「ガソリン価格が高いと、ベース車との価格差はランニングコストで短期間でも取り返せ、お得感がある。しかし1ガロン2ドルを切ってしまうと当てがはずれる」(近藤広一・ホンダ副社長)。