タフな状況下でも使用でき、耐久性や機能面を第一としていたアウトドアウェアが、昨今の女性を中心とした登山・トレッキングブームの影響を受け、ファッションの一部として世の女性たちに違和感なく受け入れられている。
彼女たちの期待に応え、ウェアメーカーは女性向けアイテムを多数リリースし、アイテムの充実を図っている。かたや出版界に目を向けると、女子のためのアウトドア専門誌も発行され、書店に並ぶ各種情報誌の表紙には“アウトドア女子”の文字が数多く踊っている。
“アウトドア女子”市場が拡大傾向にあるのは、間違いなさそうだ。その理由をいくつか挙げてみたい。
最も大きな理由は、「健康」「エコ」「スローライフ」といった、女性好みのキーワードがアウトドアとがっちりリンクする点。そして、スピリチュアルスポットなどが紹介され、自然の中に出かけることへの抵抗感が減った点だ。
他にも、「緑に癒しを求め都会の喧騒を忘れる」「趣味としては比較的お金がかからない」など、日常と非日常を橋渡しする余暇を楽しむための、現実的な選択肢であることも重要なファクターだ。
そして何より、女性とアウトドアの距離をぐっと縮めたのは、この数年で爆発的に増えたキャンプスタイルの音楽フェスではないだろうか。
オールナイトで開催されるいわゆる「夏フェス」で、テントを張り星空の下で時を過ごす――。一昔前なら、「不便」「面倒」など、露骨に不満を露にする女子が多かったが、夏を彩る文化としてすっかり定着した感のある夏フェスに、屋外で遊ぶ楽しみを教えられた人も多いだろう。