1位は愛知のトヨタで1.4兆円!
11位は神奈川の日産で316億円

 2019年4~9月期決算が出そろった。そこで今回は、上場企業の4~9月期と3~8月期(小売業に多い)の中間決算のデータを使い、「各都道府県で最ももうけた会社リスト2019中間決算」を作成した。

 上場企業を対象に、各都道府県で最も営業利益が大きい会社をピックアップし、金額が大きい順にランキングした。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。

 それでは、上位の都道府県から確認していこう。

 1位は、愛知県に本社があるトヨタ自動車で営業利益は1兆4043億円。新モデルの投入効果もあり、国内や欧州、中国で販売台数が伸び、前年同期比で11.3%の増益を確保した。

 トヨタ以外の自動車メーカーは、5位に静岡県のスズキ(1186億円)、11位に神奈川県の日産自動車(316億円)がランクインした。

 日産は昨年に続き神奈川県でトップを維持したが、営業利益は前年同期比で85%も減った。

 昨年11月に元会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕されてから、経営が停滞。収益の柱だった北米の販売不調もあり、収益性は20年前の水準に戻ってしまった。

 トヨタと日産は、それぞれ愛知県と神奈川県で一番儲かっている会社同士。しかも同じ自動車メーカーだが、営業利益で実に44倍もの差がついてしまっている。

電力会社は地方でまだ存在感あり
九電はわずか1億円の差で涙のむ

 2位は、東京都の日本電信電話(NTT)で9828億円。

3位は、大阪府の大和ハウス工業で2093億円。4位は、京都府の村田製作所で1214億円だった。

 業種別でトップ10の内訳を見ると、最も多かったのは電気・ガスで3社。輸送用機器と電気機器がそれぞれ2社で続いた。

 7位の東北電力(宮城県)は734億円、9位の中国電力(広島県)は337億円、10位の四国電力(香川県)は336億円だった。

 11年の福島第一原子力発電所事故後、電力会社の力は削がれている。だが、地方の経済界において、まだまだ侮れない存在感があることが分かった。

 ちなみに11位以下では、北陸電力(富山県)が195億円で16位。北海道電力が145億円で21位。沖縄電力が88億円で24位となっている。

 愛知県が本社の中部電力(863億円)はトヨタ、東京都の東京電力ホールディングス(1966億円)はNTTの壁にそれぞれ阻まれて、地域のトップにはなれなかった。

 それでは九州経済の雄、九州電力(301億円)はどうだったか。

同社のある福岡県の全国順位は12位で、トップは九州旅客鉄道(JR九州)だった。その営業利益は302億円。九電はわずか1億円の差で涙をのんだ。

トップでももうけは10億円未満
和歌山、高知、山形、島根、青森、秋田

 今回のランキング作成に当たり、銀行など決算書に「営業利益」の記載がない企業は対象外とした。岩手、大分、宮崎の3県は、対象となる決算期で業績を発表している上場企業が銀行だけだったため、ランキングには入っていない。

 また、長崎県にはそもそも上場企業が存在していない。

 それでは最後に、ランキングの下位もチェックしておこう。

 営業利益がその県でトップだったのに、金額が10億円に満たなかったのは次の6県である。

 和歌山県は38位のアズマハウスが7.7億円、高知県は39位の兼松エンジニアリングが6.8億円、山形県は40位の日東ベストが4.5億円、島根県は41位のジュンテンドーが4.4億円、青森県は42位のサンデーが3.7億円、秋田県は43位のマックスバリュ東北が3.3億円だった。

 38~43位の各社の営業利益の平均金額は5億円。1~6位の平均(4871億円)と比べると、実に900倍を超える開きがあった。国内でも、地域によって景況感に大きな格差があることを示唆する結果である。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)

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