1位は昨年に続き東北電力
地銀の存在感はいまだ健在

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、「北海道・東北地方で年収が高い会社ランキング2020」をお届けする。対象は、北海道・東北地方に本社を置く上場企業で、単体従業員数20人未満の企業は除外している。

 1位は東北電力(宮城県仙台市)で、2020年3月期の平均年収は773.8万円。昨年8月の「年収が高い会社ランキング2019北海道・東北地方」でも1位だったが、今年もトップを守り切った。単体の従業員数は1万2531人で、北海道・東北地方の上場企業の中では、最大の人数を誇る。東日本大震災後、同社のステータスは以前より下がったものの、雇用の受け皿としての力や社員の待遇は、今も北海道・東北地方で圧倒的な存在感を誇っている。

 2位は七十七銀行(宮城県仙台市)。平均年収が703.9万円で、名門地銀の底力を見せつけた。

 トップ10にランクインした銀行は、ほかにも3行ある。8位の岩手銀行(岩手県盛岡市)は647.5万円、9位の北洋銀行(北海道札幌市)は646.8万円、10位秋田銀行(秋田県秋田市)は634.3万円だった。東北地方は全国で最も人口減少が激しく、厳しい経営環境ではあるが、地銀の強さはこの地域において健在のようだ。

 3位は北海道電力(北海道札幌市)で、699.9万円だった。過去3年は700万円台を維持していたが、今年は600万円台に下がってしまった。ただ、従業員数は5216名で、東北電力に次ぐ規模の大きさだ。

地方で大勢の社員を雇い、しかも高い給与水準を維持できている大手電力には、まだまだ地元でやる気と能力のある若者を引き付ける力があるといえる。

全国区のドラッグストア2社が
上位10社にランクイン

 4位のユアテック(宮城県仙台市)は、東北電力系の電気工事会社で、695.3万円だった。昨年も3位に入っていて、高年収を維持した。

 5位の陸運業、ロジネットジャパン(北海道札幌市)は668万円だった。札幌市に本社を置く札幌通運株式会社と、東京都に本社を置く中央通運株式会社が経営統合した両社の持ち株会社だが、2019年4月に札幌通運の一部組織を当社へ移管したことによって、従業員は64.9%増の94名になっている。

 また、6位のツルハホールディングス(HD、北海道札幌市)は666.9万円、7位はアインホールディングス(HD、北海道札幌市)で、652.7万円だった。

2社とも、ドラッグストアを全国でチェーン展開している。

 特に注目されるのは、ツルハHDで、昨年の平均年収は552万円だったが、今年は前年度比で20.8%も上がっている。これは、コロナ禍で来店客数が増える中で、感染防止に気を配りながら、現場で接客などにあたる従業員の労に報いるため、今年5月に「特別感謝金」を全従業員に支給したことが影響している。さらに、全国的にマスクや消毒用のアルコールが品薄になった3月に、既存店売上高を前年同月比14.5%増と大きく伸ばし、コロナ禍でも堅調な業績を維持。また、21年5月期の売上高見通しを前期比2.3%増の8600億円と予想するなど好調だ(参照:「ツルハドラッグ、コスモス薬品が絶好調!マツモトキヨシは不調?」)。

 なお、今回のランキングの完全版では、年収が高い上場企業50社を掲載している。

年収600万円超の15社について、業種別の傾向も分析しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)