![[橘玲の世界投資見聞録] 書籍『死都ゴモラ』が明かす、南イタリアの途方もない秘密](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FDiamond%252FDiamond_26517_1.jpg,zoom=600,quality=70,type=jpg)
『死都ゴモラ』は驚くべき本だが、最後まで読み通すのはかなりの根気がいる。20代でこの本を書いた才気溢れる著者が、あまりにも“高尚な”文体を使っているからだ。そのため日本の出版社は、現代イタリア文学の最高峰アルベルト・モラヴィア(ゴダールによって映画化された『軽蔑』が有名)を翻訳する大御所を起用したが、それでも私のような一般人にはかなりハードルが高い。
「クラン(犯罪組織)に対抗するとは、生存のための闘いに加わることである。あたかも生存自体、口にする食物、頬ばる口、耳にする音楽、読む頁が、私たちの生活を根拠づけられず、単に生存を認められているだけのような。知り、理解するのは一つの必要なことである。生きて呼吸する一人の人間であると感じることを可能にする唯一のことだ」
こんな文章がえんえんと続くことを想像すると、どんな“読書体験”かおおよそわかるだろう。
しかし『死都ゴモラ』は、この苦難を乗り越えた先に、世界を理解するための途方もない秘密を明かしてくれる。もちろん原書(の翻訳)を読んでいただくのが一番だが、時間と忍耐力のあるひとばかりではないだろうから、ここでその一部を紹介しておきたい。