それにしても、あらゆる契約に認められている〝期限の利益喪失条項”を契約の強制として任意性を認めず、事実上、立法の趣旨を根底から否定することになった判決は、あまりにも乱暴な解釈です。司法のあるべき姿を忘れているのではないでしょうか。
最近、友人の弁護士とも「最近の司法はちょっとおかしいよね」と話したばかりですが、あのような理屈付けで最高裁が現行法を無効にしたことは、法的安定性をも脅かす異常なことです。本来なら総合的に見ても「民法90条の公序良俗違反だから無効である」で十分なことで、そうしたケースメソッドを重ねていくという知恵も出せたはずです。それであれば、これほどまでに「利息返還請求」が過熱することにはならなかったのではないかと思います。
ちゃぶ台をひっくり返された貸金業者は被害者橘 そのグレーゾーン金利の問題について伺いたいのですが、企業は法律の範囲内で、利益の最大化を図るために個々に経営努力をしています。そうした企業に対し、何が合法で何が違法か、正当な競争の範囲を明示するのが本来の政治の役割だと思いますが、グレーゾーンに関してはそれが明確に示されておらず、業者も手探りでやっていた。ところがある時突然、これまでのやり方は全部違法だとちゃぶ台をひっくり返され、大半の業者が潰れてしまった。
常識的に考えれば、これは〝消費者金融が被害者”で〝政治が加害者”といえるのではないかと思います。そもそも二つの上限金利を放置したことで、政治は健全な市場を育成するために最低限必要なインフラ整備に失敗したのではないでしょうか。