『週刊ダイヤモンド』10月23日号の第一特集は「株入門」です。日本株が動意づいています。

政治の秋が到来、「選挙は買い」の言葉が現実味を帯びてきました。株投資も最初が肝心です。基礎をしっかりと固め、焦らず取り組んでいくための株投資入門特集をお届けします。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)

衆院解散日から投票日までの間
日経平均が上昇する確率は88%!

 岸田文雄新首相は10月14日に衆議院を解散。総選挙は19日公示、31日投開票のスケジュールで動き出した。

 日本の株式市場にとっても選挙は大きなイベントだ。

日経平均株価はどう動きそうか? 

 選挙と株の関係をデータで振り返ってみると、下表の通りである。

 1970年以降の衆院選において、衆議院解散日から投票日までの日経平均株価は16回中14回が上昇している。約88%と、かなりの上昇確率だ。

 今回は9月の急騰劇を経て、振り出しに戻る格好となった。だが、今後は特に投票日までの間、選挙モードの中で株価上昇期待が高まっていく可能性がある。

 なお、「投票日から60日後まで」の騰落率を見ると、過去16回中11回で上昇している。

約69%の上昇確率である。株価強気派を後押しする数字だろう。

 それでは、衆院選後の参院選では株価はどう推移するのだろうか。

衆院選後、参院選までの株価は堅調?
物色されやすい景気敏感セクター

 今回は、自民党総裁選、衆院選、来年の参院選と選挙が続く。すでに終わった自民党総裁選と株価については、衆院選ほどの強い相関はないもようだ。

 ちなみに宏池会の自民党総裁が誕生した場合、初代会長の池田勇人内閣を除けば株価はぱっとしない。

総裁選から30日後までの間で見ると、第1次大平正芳内閣で2.9%、鈴木善幸内閣で3.0%それぞれ上昇、宮沢喜一内閣はマイナス9.4%、谷垣禎一総裁でマイナス9.3%と低迷している。政策うんぬんより、総裁就任のタイミングの問題によるのだろう。

 次に参院選と株価である。今回のように衆院選の1年以内か1年後くらいまでに参院選が行われたケースは、70年以降では6回あり、うち4回上昇し、2回下落となっている。

 2001年の参院選では、衆院選から30%以上の大幅な下落となったのは当時のITバブル崩壊のインパクトが大きい。10年の参院選でも下落しているが、このときは民主党政権への期待感の剥落という特殊事情があった。

 その他は上昇していることから、衆院選後に参院選が行われるケースでは比較的、株価が堅調に推移しそうだとみていいかもしれない。

 2000年以降の物色動向を確認しておこう。選挙前後1カ月を通じて、景気敏感セクターが買われやすく、内需系のセクターが売られやすい傾向があるようだ。景気敏感でも、海運などの運輸セクターや鉄鋼、非鉄金属などが相対的に上昇している。一方で、情報・通信、卸売業、金融など、政治的に力の弱そうな業界の株価が低迷しているように見える。

 選挙で株価が上がるというのは、理屈では説明できなりアノマリーの一つだ。

当たるも八卦、当たらぬも八卦と受け止めるのが正解である。だが、政治の秋にあって株式市場の参加者の関心度がより高まり、影響を受けるのは間違いない。参院選に向けての長丁場となる中で、しばらくは政治から目が離せない。