[橘玲の世界投資見聞録] 北朝鮮、板門店と延吉でかいま見た虚実

 両国ともこの非武装地区に戦略村をつくり、韓国は「自由の村」、北朝鮮は「平和の村」と名づけた。韓国側の自由の村ではのどかな田園風景が広がり、秋になれば稲穂が黄金色の穂を輝かせる。この村の若者たちは兵役の義務を免除されており、そればかりか村民には納税義務すらない。ひとたび北朝鮮が南侵を開始すれば、真っ先に犠牲になるのは彼らだからだ(実際、自由の村周辺では、北朝鮮軍が秘密裏に掘った侵略用のトンネルが発見されている)。

 北朝鮮側の平和の村は板門店近くの展望台から望むことができるが、アパートには窓ガラスがなく、夜になると全戸一斉に点灯されるのだという。ずいぶん前にゴーストタウンとなり、居住者がいるよう装うために電灯を点けたり消したりしているのだと説明された。

 板門店の会議場は、木造の貧相な建物のなかに会議用のテーブルと椅子が置かれているだけだった。建物は38度線の上につくられ、UN(国連)の旗が置かれた会議用テーブルは両国の代表団のスペースが軍事分界線で均等になるように設置されている。その周囲に国連軍の警備兵が立っているが、韓国側の観光客は韓国兵が、北朝鮮側から中国人などの観光ツアーが来るときは北朝鮮兵が担当することになっている。すべての韓国兵が黒いサングラスをかけているのは、北朝鮮兵に視線を読まれないようにするためだという。

 会議場の外側では、やはり韓国軍の兵士が、北朝鮮側を向いて、建物の陰から半分だけ身体を出して、テコンドーの独特の構えで立っている。全身を晒さないのは、銃撃を受けたときのためだ。


当時の記事を読む

ダイヤモンド・オンラインの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

もっと読む

国内ニュース

国内ランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2013年3月8日の経済記事

キーワード一覧

このカテゴリーについて

経済、株式、仕事、自動車、金融、消費などビジネスでも役に立つ最新経済情報をお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。