![インドネシア・バリ島の非効率に見るアジアの思想 [橘玲の世界投資見聞録]](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FDiamond%252FDiamond_35669_1.jpg,zoom=600,quality=70,type=jpg)
もっとも、個人旅行をする観光客よりもタクシー運転手の数が圧倒的に多いので、ほとんどが仕事にあぶれてしまう。そうするとまた所在なげに次の便を待つことになって、こうして一日が終わっていく。
空港で客待ちをする運転手たちの行動を観察していると、そこには部外者にはわからない微妙な棲み分けがあるらしい。
客をつかまえる確率は、もちろん到着ゲートに近いほど高くなる。しかしなかには、到着ゲートに近寄らず、かなり離れたところで必死に声をかけている運転手もいる。彼らは新入りで到着ゲートに近い一等地で客引きをする権利が認められていないのだろうが、これでは宝くじを当てるのと同じで、いくらなんでも効率が悪すぎる。
タクシー乗り場を整備して順番に客待ちをするか、せめて乗車窓口を統一して配車係が案内すればいいのに、なぜこんなに非効率なやり方しかできないのだろうか――。
観光地を結ぶ非効率な道路バリというとクタやレギャン、ヌサドゥアといったビーチリゾートが有名だが、リピーターのなかには芸能と芸術の村ウブドに通い詰めるひとも多い。11~14世紀半ばにバリ島初期の王朝があった地域で、稲穂の揺れる田園風景のなかに古代の遺跡やヒンドゥー寺院が点在し、夜になれば村のあちらこちらで伝統舞踏が披露される。