AI活用で教務DXからリスキリングまでの支援を目指す
GMOインターネットグループのGMOメディア株式会社は、問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラムに関する特許を2024年10月3日(木)に取得した(特許番号:特許第7566195号)。GMOメディアでは、AIによる問題生成技術に関する特許取得は、2024年8月に取得した「クイズGPT(特許番号:特許第7546809号)」(※1)に続き2件目となる。本特許技術は、目的に応じた情報ソースを読み込ませることで、その情報に沿った複数選択肢の問題を自動的に生成できる技術だ。GMOメディアではこの技術を活用し、科目「情報Ⅰ」の小テストを簡単に作成できる「コエテコStudy byGMO」を提供している。
(※1)「クイズGPT」は、GMOメディアの登録出願中商標である。
■特許技術の概要
本特許技術は、生成AIエンジンに読み込ませた情報ソースをもとに、複数の選択肢がある問題を作成することができる技術だ。・作成フロー
①システム操作者が作問したい問題のテーマを入力
②生成AIエンジンが目的に応じた情報ソースから取り込んだ情報を管理している外部記憶データベースより、作問したいテーマの情報を入手
③生成AIエンジンは、取得した情報をもとに、X択問題(複数選択肢)とその解答および解説文を作成
④システム操作者が生成された問題を選定して問題管理データベースへ登録
⑤教員が「コエテコStudy byGMO」で出題範囲を教科書のページ数などで指定して小テストを作成
■本技術の特徴
本技術では、生成AIが事実に基づかない情報の生成を勝手に行ってしまう「ハルシネーション」という事象をコントロールし、生成AIにて問題生成を行うのが特徴だ。GMOメディアでは、2024年8月に本技術と同様の「クイズGPT」という問題生成技術で特許を取得している。この「クイズGPT」は、問題自体に敢えてハルシネーションを起こし、問題文の正誤を問う〇×問題の生成が可能な技術となっている。(ハルシネーションを起こした問題例:世界で一番高い山は富士山である。→正解:×)
一方、本技術では、生成AIに問題を作成させる際に一般的に使用されるRAG(※2)やファインチューニング(※3)といった技術を活用したアプローチを採用している。これにより、問題自体へのハルシネーションを抑え、解答の選択肢に敢えてハルシネーションを起こす仕様にしている。こうした技術のコントロールにより複数選択肢の中に正答と誤答を含める問題の生成が可能となる。本特許技術クイズGPT発明の名称問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラム問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラム発明の特徴 解答の選択肢にハルシネーションを起こし複数の選択肢がある問題を生成 問題自体にハルシネーションを起こして 〇×で解答する問題を生成主な活用事例 試験問題の生成〇×クイズの生成特許番号特許 第7566195号特許 第7546809号特許取得日2024年10月3日2024年8月29日(※2)RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、生成AIによるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術のこと。
(※3)ファインチューニングとは、学習済みの生成AIに独自のデータを追加で学習させ、新たな知識を蓄えたモデルを作り出す技術のこと。
「コエテコStudy byGMO」の仕組み フローチャート
via プレスリリース■特許技術の活用実績
小テスト作問ツール「コエテコStudy byGMO」で教務DXを支援
「コエテコStudy byGMO」とは、本特許技術を活用し、科目「情報I」の教科書内容に沿った3,000問以上の問題を自動で作問し、簡単に小テストを作成することができるツールだ。教育現場では、科目「情報Ⅰ」に対して、プログラミング教育の専門知識を持つ教員の不足や、学習教材を準備する困難性の高さなど、様々な課題を抱えている。技術的な特徴
本特許技術の、「適切な範囲を絞った情報から問題を生成する」という特徴を活かし、「コエテコStudy byGMO」では、教科書の目次やページ数から作問したい内容を指定して、小テストを作成することができる。また、1つのキーワードに対して複数の問題形式で出題することで、生徒の理解をより深められるよう設計している。・出題される問題の一例:キーワード「ビッグデータ」
①説明を元に用語を回答する問題
【問題】
次の説明にあてはまるものを選択肢から選びなさい。
「大量かつ多様な形式のデータを指し、インターネットやセンサー、観察、調査などを通じて収集され、解析されて有益な情報や知識として活用されるもの」
【選択肢】
・クラウドコンピューティング
・ビッグデータ(正解)
・機械学習
・IoT
②用語を元に正しい説明を回答する問題
【問題】
次の中から、「ビッグデータ」の説明として適切なものを選びなさい。
【選択肢】
・小規模なデータセットを指し、個々のデータが詳細に解析される。
・大量かつ多様な形式のデータを指し、解析されて有益な情報や知識として活用される。(正解)
・特定のアルゴリズムを用いてデータを圧縮する技術。
・インターネット上での通信速度を向上させるための技術。
③用語を元に不適切な説明を回答する問題
【問題】
次の中から、「ビッグデータ」の説明として不適切なものを選びなさい。
【選択肢】
・ビッグデータは、大量かつ多様な形式のデータを指し、インターネットやセンサー、観察、調査などを通じて収集されます。
・ビッグデータは小規模なデータセットであり、解析は比較的容易です。(正解)
・ビッグデータの解析により、新たな洞察が得られ、企業の戦略立案や科学的発見に役立ちます。
・ビッグデータは、新しい知識を創出するための原材料として利用されます。
④用語が正しい文脈で使用されている文を選ぶ問題
【問題】
次の中から「ビッグデータ」の用途として適切な文章を選びなさい。
【選択肢】
・ビッグデータを使って、家庭の電力消費を手動で監視することができる。
・ビッグデータを使って、小規模なデータセットの解析を効率化することができる。
・ビッグデータを使って、企業の戦略立案や科学的発見に新たな洞察をもたらすことができる。(正解)
・ビッグデータを使って、手紙の送料を安くすることができる。
■今後の展望
「コエテコStudy byGMO」では今回、特許を取得した技術を活用し、高等学校の科目「情報Ⅰ」以外にも対応科目を拡大していく予定だ。また、高等学校の学習支援だけでなく、リスキリングを目的とした各種資格検定の対策講座への活用など、多様なシーンへの展開を広げていきたいと考えている。さらに、「コエテコStudy byGMO」だけではなく、クイズプラットフォーム「まいにちクイズボックス byGMO」で提供するクイズへの活用も予定している。
GMOメディアでは、今後もAI技術の進化を取り入れながら、特許技術を活用してサービスの拡充や、社会課題解決への貢献に努めていく。