ホンダ発スタートアップ、自動運転技術の応用と独自のアルゴリズムによって歩行ナビゲーションの高精度化を実現し、視覚障がい者の自由な歩行をサポート
「人の豊かさを“歩く”で創る」をミッションに掲げる株式会社Ashiraseは、視覚障がい者の歩行をサポートするナビゲーションデバイス「あしらせ」の新モデルを発表した。スマートフォン標準のセンサーデータに加え、あしらせデバイス搭載のセンサーデータ(磁気、IMU、GNSS)による歩行データを独自のアルゴリズムで組み合わせることで高精度なユーザー位置・方位推定を実現した。■背景
ロービジョンを含めた視覚障がい者は日本国内で約200万人と言われており、今後の高齢化に伴って人口は増加すると推測されている。視覚障がい者の歩行を支える福祉機器においては、デジタル技術の進歩によりスマートフォンの音声ナビゲーションを用いたルート確認が可能となった。しかし、歩行時には白杖や盲導犬を用いた安全確認にも注意を払う必要があり、多くの情報処理に負担を感じるため、単独での外出を控える視覚障がい者が多い。国土交通省の調査によると、週に3~4回以上外出する視覚障がい者の割合は健常者の73%に対し、弱視では56%、ほとんど見えないが一人で外出できる人では39%、ほとんど見えないが外出には介助が必要な人では26%に低下している。こうした視覚障がい者の歩行の課題を解決するために、Ashiraseは本田技研工業株式会社の新規事業創出プログラムIGNITION第一号スタートアップとして2021年4月に設立された。自動運転の技術要素を応用し、聴覚や白杖操作を邪魔しない足元への振動インターフェースとナビゲーションアルゴリズムを構築。2023年3月には購入型クラウドファンディングで目標金額の700%を達成し、120台の先行発売を実施した。via プレスリリース
■新モデルについて
Ashiraseでは先行販売モデルを発売以降、さらに視覚障がい者の方々にとって必要な製品となるために改善を続けてきた。ユーザーからの声をもとにソフトウェアの改良を重ね、現在7割を超えるユーザーの方に満足していただいている。一方、まだ満足頂けていない方からは「スマートフォンの位置情報誤差でわかりづらい」「装着時の靴の中に違和感がある」「女性の靴になじみづらい」といったデバイスに関する声を頂いていた。そこで今回あしらせの新モデルを開発し、これらの声に応えるとともに、多くの方に届けるため一般販売に向けた予約を開始する。新モデルのアップデート
1. スマートフォン標準のセンサーデータに加え、あしらせデバイス搭載のセンサーデータ(磁気、IMU、GNSS)を組み合わせることで高精度なユーザー位置・方位推定を実現2. 自動運転の自車位置推定技術を応用したあしらせ独自の「ユーザー歩行位置推定技術」により、位置情報のずれを改善
3. 靴の中に入れる振動部分に柔らかく薄い素材を採用し装着時の違和感を低減
4. 先行販売モデルから15%の小型化と幅広い靴になじみやすいユニセックスなデザイン
また、あしらせは厚生労働省が定める「身体障害者用物品」の条件を満たしており、非課税での販売となる。
■製品の特徴
1.手や耳が自由なまま目的地まで案内
デバイスを装着した靴を履いて外出すると、足元からの振動で目的地までのルートや曲がる方向、タイミングを伝える。スマートフォンをポケットに入れたまま利用が可能であり、視覚や聴覚を邪魔せず安全確認に集中できるようサポートする。2.視覚障がい者にとって歩きやすいルートの提案
複数のセンサー情報から生成された歩行位置データを独自のアルゴリズムで補正し、視覚障がい者にとって歩きやすいルートを提案する。ユーザーの行きたいルートを記録できる「マイルート機能」や、横断歩道や交差点などを音声で案内する「道路構造・周辺施設通知機能」も搭載している。3.AIを活用した多様な機能で情報へのアクセシビリティを促進
視覚障がい者がアクセスしづらかった情報をAI機能を用いて提供する。探したい場所を音声入力すると条件に該当するおすすめ施設を案内する「AIおすすめスポット検索」や、写真で撮影したものを説明する「AI画像認識」機能など、順次新しい機能を追加している。ユーザーの声はこちらを参照:https://www.ashirase.com/ashirase-review