新しい調査により、イギリスの映画・TV界における労働者階級出身者の数が、ここ10年間で最低を記録したことが明らかになった。

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労働者階級が抱える固定観念と苦労

英The Channel 4 Newsによると、クリエイティブ・インダストリー・ポリシー&エビデンス・センターの調査で、映画・TV・ラジオ業界で働く労働階級出身者は12人に1人、つまり全体の8%にしか満たないことが判明。なお、政府が最近行った調査によれば、国民のおよそ半分が自身を労働者階級だと考えているという。

The Channel 4 Newsは、労働者階級出身のドキュメンタリー映画監督、サム・オッディのコメントを紹介している。オッディは、「労働者階級では、“キャリアでやりたいことができる”という信念を持っていない人が多いと思います。中流階級や上流階級の出身者は、最初から“やりたいことは何でもできる”と言われています。でも労働者階級出身の人々は、“手に入れられる物なら何でもいい、働けるなら何でもいい”という考え方が植えつけられているんです」と発言。オッディ自身は何度も賞を受賞しているにもかかわらず、労働者階級のクリエイターとして、好きなことを本業にするのは大変だったと明かしている。

労働者階級出身のイギリス俳優といえば、『007』シリーズで初代ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーや、『ダークナイト』3部作でバットマン/ブルース・ウェインの執事アルフレッドを演じたマイケル・ケイン『ライン・オブ・デューティ』『Bodies/ボディーズ』に出演しているスティーヴン・グレアムなどが思い浮かぶ。対して、彼らよりも若手となる英国俳優は、『SHERLOCK/シャーロック』で大ブレイクしたベネディクト・カンバーバッチや『ファンタスティック・ビースト』シリーズに主演するエディ・レッドメイン『HOMELAND』などで知られるダミアン・ルイス、『ロキ』に主演したトム・ヒドルストンなど、名門校卒業者が圧倒的に目立つ。

この傾向が見られるのは俳優に限った話ではなく、音楽や舞台芸術の分野で活躍する人々も、およそ65%が中流もしくは上流階級出身だという。だが同調査では、なぜ芸術分野で活躍する人々に労働階級者が減少しているのか、その理由については指摘していない。

また同調査では、芸術分野で働く人々の90%が白人で、管理職のほぼ70%を男性が占め、管理職で黒人はわずか1%との結果も出ており、圧倒的な多様性の欠如も浮き彫りとなった。

The Channel 4 Newsのインタビューでは、聴覚障害を持つ有色人種の俳優、サミラ・アーメッドが慈善団体の支援を受けて演技を学んだ経験を明かしており、業界で働く人々のほとんどが中・上流階級の白人で、業界に入るにはコネが必要だと気づいたと発言。オッディやサミラをはじめとする労働者階級のクリエイターや俳優は、平等な機会を得ることについて多くの議論がなされてはいるものの、意味のある行動は足りていないと感じていると述べた。

対して政府の広報担当者は、研修や教育を通じて業界への新たな道筋を作り、すべての人に機会を提供するクリエイティブセクターの成長に取り組んでいると語っている。政府の取り組みにより、早急に状況が改善されることを期待したい。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline英The Channel 4 News