チベットの有名な飲み物としてバター茶がある。それはヤクの乳と塩を黒茶にといで飲むお茶で、非常にマッタリとした味わいを堪能できる一品なのだが、そのバター茶を飲む茶法のひとつとして、“粉をスプーンで口にふくんでからスグにお茶を飲む”というものがある。
チベットのなかでも都会となっているラサ市内では、外国人がそのような飲み方を目撃する機会は少ない。しかし、どんどんネパール方面へと進んでいくと、その茶法で飲んでいる人々を見かけるようになる。
私もチベット人のおじさんに「飲んでみんしゃい。うへへ」とススメられて飲んでみたが、粉が喉に入ってムセまくった。10分くらいで落ち着きを取り戻したのだが、「飲んでみなよぉ。うへへ。ほら、美味しいから。うへへへへ」と、飲め飲め攻撃。強引に口の中にスプーンで粉を押し込められ、「このスプーン、いまおじさんがベロベロなめてたヤツじゃ……」と思いつつ、バター茶をすする私。
その粉の正体だが、きなこに限りなく味や質感が近いツァンパという粉である。味がきなこ風味なので、日本人も抵抗なく食べることができるはず。だが、ツァンパは非常にフワフワしているので、少しでも息を飲んでしまうと気管に入ってムセてしまう。また、チベットは標高が高いため、ムセると喘息が発生したり、高山病が悪化する場合があるから注意が必要だ。
私はバター茶の塩分がやや苦手なので、ムセかえり防止も含めてツァンパをバター茶と混ぜて飲むようにしている。それは口に粉をふくませるより合理的かと思うのだが、茶法は茶法なので現地の文化に従って飲むのがベストかも?
ちなみに、路上で太陽熱を利用してお茶を沸かしている店があれば、そこでは美味しいバター茶が飲めるという印である。立ち寄ってツァンパとバター茶をいただいてみれば、思い出のひとつとなるだろう。
(空条海苔助)