残念ながら、私は、書泉さんが紙袋を配っていた時代を知らないが、1980年代の黒と金が映える光沢のある質感のビニール製の巾着型バッグ(フィンバッグ)は覚えている。
「それは、ビニール素材の中では、かなり初期のものですね。しおりと同様に、創業者で先代の社長だった酒井正敏のアイデアで始まったんです」
だが、「フィンバッグからベルバッグにシフトした時期や、季節ごとにバッグの色や絵柄を変えるようになった時期については、正確な記録が無い」のだそう。
デザイナーさんについては、「毎シーズン2、3人いらっしゃるでしょうか?」とのこと。デザインによっては、シリーズ化されているものもあるそうだ。
「最近のものでは、アンディー・バーガーさんという方が担当されている、クマのブラウニーちゃんの絵柄などがそうです」
そういえば、私のコレクションにも、クリスマスバージョンのそのクマちゃんバッグがあったかも。
「しおりとは異なり、バッグに関しては、お客様にどのデザインが一番人気があったのかわからないままなんです。接客する店員の意見はよく参考にしますが。いい素材で、デザインが良ければ、お客様に当店の袋を普段使いにして頂けるんじゃないかと思っただけで……時折、雑踏の中、現在は差し上げていない昔のバッグをお使いの方を見かけますし」
書泉さんの悩みは、バッグのデザインが、利用客に支持されているのかということ。