その職業の間でしか意味が伝わらない“専門用語”や“隠語”に憧れを持ってきた。中学生のクセに「18時にギロッポンでシースーでも食べようか?」と、今から考えると不憫でしかない言葉遣いを駆使していた時期もあった。

そんな専門用語や仲間内でしか通用しない隠語はどんな業界にもあるものだが、その種の業界用語に対する憧れはいまだに止まない。

そして今、自衛隊内での専門用語・隠語が紹介されている。防衛省が編集協力する情報誌『MAMOR(マモル)』の4月号に、「自衛隊用語事典」なるものが掲載されているのだ。
この事典は、MAMOR編集部で立ち上げた「自衛隊用語事典実行委員会」が、自衛隊内の専門用語・隠語を調査、編さんしたもの。門外漢の我々には興味深すぎる情報がこれでもかと載せられていた。

自衛隊内では、もうビックリするような専門用語が使われているのだ。

その1つが「ロリコン」。これは航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の展示飛行科目の一つで、正式には「ローリング・コンバット・ピッチ」という。ある年齢の異性を好む趣味のことではない。
まだまだある。「グリコのおまけ」とは防衛記念章のこと。自衛官がその経歴を記念して制服に着用するもの。
賞詞を授与されたり、部隊長を務めたり、海外活動などに従事すると支給され、制服の左胸ポケットの上部に着用する。由来は、自衛隊には各国の軍隊の勲章にあたるものがなく、それと比べると「おまけ」みたいなものと自虐を込めたという説がある。

「赤いきつね」とは、10年以上勤続した自衛官に付与される第28号防衛記念章のこと。赤を基調としているデザインなので、某カップ麺の商品名にかけてこう呼ばれるようになったという、割とビジュアルで直感的なネーミング。
「緑のたぬき」とは、第27号防衛記念章で、25年以上の勤務で授与される。赤いきつね同様、某カップ麺からひっかけて呼ばれる。
ということは、緑のたぬきを持つものは赤いきつねを持っている。

「バームクーヘン」とは、自衛隊式毛布のたたみ方をあらわす。毛布を八つ折りに畳み、畳んだ側面がきれいに層になったおいしそうなバームクーヘンのように見えるよう揃えなければならない。

他にも「タコ」、「オス・タップ」、「モス」など、たくさんの専門用語が紹介されていた。ちなみに、この事典に登場する隠語は、自衛隊の正式用語ではないとのこと。

自衛隊に入りたての若者が、いきなり「バームクーヘンにしろ!」とか「ロリコンが~」なんて言われたら面食らってしまうかもしれない。
奥深い世界である。
(寺西ジャジューカ)