ポストを覗くと友人から手紙が届いていた、なんとも嬉しい瞬間である。昨今、デジタル化が進み、通信ツールも携帯メール・PCメールと、プライベートや仕事においても手書きのツールを利用する機会が激減してきているように感じる。


手紙はもはや時代遅れなのか? 日本郵政に過去10年間の手紙やハガキの物数の増減を聞いてみたのだが、「民営化の影響もありまして、過去10年間となると難しいですねぇ。封書やハガキでもダイレクトメールなども含まれますが、近年の資料でしたらご用意できるのですが……」ということで、旧日本郵政公社の資料も参考に7年前と比較してみた。

通常郵便物の取扱物数は平成13年度の262億通をピークに毎年減少しているようだ。その中でも今回は手紙やハガキに注目してみた。

第一種郵便物(手紙)は平成13年度の物数が“約131億通”だったのが、平成20年度では“約103億通”へ減少。第二種郵便物(はがき)は平成13年度の物数が“約77億通”だったのが、平成20年度では“約68億通”。
国際郵便に関しても“8800万通”から“5700万通”へ減少。

つまり確実にIT化、電子メールへの移行も影響しているだろうとのことだった。

しかし、手紙に関してアンケートを取ったところ、
「簡単な話はメールで済ませてしまうが、会えない友達には手紙を書いている(20代女性)」
「手紙は電子メールとは違って、心がこもると思う(30代男性)」
「手紙が届くと読むのが楽しみでたまらない(20代女性)」
「仕事でもビジネス文書以外はメモ帳や便せんなどデザインも良いので、仕事関係でもそれを使っている(30代女性)」
「今でも変わらず大切な人には手紙はよく出している(50代男性)」
と手紙を書くことや便せんなどに対する印象は良かった。

便利な“電子メール”などに移行しつつも、手紙が良くないと思っている人はいないのだろう。手間を省き、スピードアップを優先させてしまい、手紙は書かなくなってきたものの、手紙の大切さは忘れられていないのだ。

手紙を書くか書かないかには個人差があるが、“手紙は書かない”という理由には、「もともと書かない」という人が多く、否定的な言葉は少なかった。
昔に比べてというよりは、“手紙を書く人“はIT化に関わらず手書きツールを好んでいるようだ。

アンケートから「手紙」と「携帯・PCメール」についてのキーワードを抜粋すると……。
「手紙」に関しては、『心』『思い』『デザイン』『自由度』『手間』など。
「携帯・PCメール」に関しては、『便利』『シンプル』『低コスト』『早い』などがあった。
人に用件を伝えるという点では同じツールでも、伝えたい気持ちによっては全く別の手段なのかもしれない。

減っていたと思いがちだった“手紙”は、その存在の大切さ自体は変わっていないようだ。
ちょっとしたスケジュール確認などがメールで簡単に済むという点では便利になったものの、“心”をデジタルに込めるのはなかなか難しいってことでは?!

もともと手紙には温もりや気持ちが伝わるという、デジタルには代え難い“役割”があったのだ。みなさんも大切な人には素敵な“手紙”を送ってみよう!
(楓 リリー)