しかし、確かに“書くことで得られる喜び”というのもあった気がする。どんな“喜び”かというと、意図せず、なんとなく書いた字が、異様に綺麗で上手な字だったりした時。思わず、額に飾りたくなるような、誇らしいあの瞬間。
そんな喜び、この筆で再燃させてしまおうか。「株式会社 墨運堂」が発売した『Pop Corn ゆび筆』が、話題騒然なのだ。
この筆の使い方は、手に持たない。指先にはめて、字や絵を書く。「何かを持って……」という感覚ではなく、指の延長線上に筆があるという感じ。思わず、『シザーハンズ』を思い出したのだが。
とりあえず、楽しそうなのはわかった。でも、なんでこんな物を作ったのか? 何を意図しているのか? 実は、開発秘話が同社の公式サイトに記されている。
いわく、「電車内で、幼い少女が曇った窓ガラスに指で、ひとり言をいいながら絵を描いていた。それを見て『指で絵を描いたら楽しいだろうな』と思い立った開発者たち」。ひょんなことから、開発はスタートしたのだ。
考えてみると、指で何かを書くのは格別の面白さだった。小さい頃、指で絵を描くキャンパスは、砂場だったり曇りガラスだったり。そこにぶつける幼きクリエイティビティー。
そんなノスタルジーも、この筆を製作する大きなバイタリティーとなっている。
だが、苦労した点がひとつ。それは、指にはめるホルダー部分のサイズ。だって、これは誰にでも使ってほしい筆なのだから。当然、誰もがはめられるサイズにしたい。