「ホカホカでアツアツ」がたい焼きのイメージだが、1~2年前から夏場に「冷やしたい焼き」を販売しているお店をちらほら見かけるようになった。ギャップの魅力というか、和風の冷たいおやつとしてこれがなかなかいけると思っているので、気軽な手みやげとして友人宅に持参したところ、
「へえ! 冷えたたい焼き?」
と驚き顔。

「いや、“冷えた”じゃなくて“冷やし”なんだけど……冷めちゃった的なものではなく、能動的に冷やしている感じ」
などと言ってみたものの、どこが違うのかうまく説明できなかったので、「冷やしたい焼き」と「冷やしたたい焼き」を数人で食べ比べてみた。

過去記事「どちらがお好み? たい焼きの『天然物』と『養殖物』」でも触れられているように、最近はカスタードやチーズ、カレーなど、もはや何でもアリなたい焼きの中身だが、ここは正統派に餡入りのものを4種用意。

A. 「冷やしたい焼き」と銘打って販売されているたい焼き
B. 「温めても冷やしても美味しく食べられる」として販売されているたい焼き
C. 普通の温かいたい焼き
D. 冷凍のたい焼き(解凍し、温めて食べる用)

以上を、どれも冷蔵庫で30分ほど冷やして試食してみた。

AとBは美味しいと好評。元々冷やして食べる用なので、まあ当然である。そしてDの冷凍たい焼きは、なぜか意外に冷たくても大丈夫。
温めても冷やしてもそれなりに美味しく食べられた。……が、Cのあまりのいただけなさには倒れそうになった。温かい状態で食べると、皮が薄めでぱりっとしていて餡の控えめな甘さがたまらない、とても美味しいたい焼きなのだが、冷やすと皮が固くなりもっそりとしていて、口の中でボソボソする。

AとCは同じ店のたい焼きであるので、皮と餡に分けて比較してみたところ、餡は同じもののようだったが、皮が全く異なっていた。お店の方に尋ねてみたところ、冷やしの方は白玉粉を配合してもっちり感を出しているのだが、Cは焼きたての温かい状態でのぱりっと感を重視しているので、冷えると硬くなってしまうのかもしれませんとのこと(※検証した店の場合で、店によって異なります)。Bも皮がモチモチなので、冷やしたい焼きの美味しさの秘密は皮の食感にあるのかもしれない。


そんなわけで「冷やしたたい焼き」はあまりお勧めしませんが、春爛漫、これからどんどん暖かくなり夏に向かってゆくこの季節のおやつに「冷やしたい焼き」はいかがでしょう?取り扱うお店は年々増えているようです。

余談ですが、温かいたい焼きにバニラアイスクリームを添える、というのも、個人的には一年を通してオススメの食べ方です。
(磯谷佳江/studio woofoo)