「1回戦課題図書は…これ!」レフェリーが高く掲げたのはコロコロコミック…!ざわつく満員のイベント会場…予選を勝ち抜いてきた8人の「コマジャン師」それぞれ手元のボックスには、バラバラに切り刻まれたコロコロコミックが…って、これ一体どういう状況!?

超文化系バトルゲーム「コマジャン」。その第2回大会が先日、FORESTLIMITという会場で行われた。
コマジャンって何かと簡単に言うと、1対1で、決められた漫画雑誌の中からコマやフキダシをハサミで切り抜き、そのチョイスの面白さで戦うジャンケンの事だ。面白さは複数の審査員の多数決で決まり、3本先取すれば勝利!その大会に大勢の観客が集まり、インターネットでの映像中継も盛り上がった。

おそらくみなさんに湧いてくる疑問は、そんなゲームになぜ大の大人が予選をしなければならないほど選手が集まるのかって事、そして「漫画は切り刻んじゃダメ!」というツッコミもあると思う。前者はきっと過去の映像を見れば納得していただけるだろうし、後者については、大半が捨てられていくという運命を辿る「雑誌」を使っている所に考慮がある。

コマでジャンケンするからコマジャン。コマのチョイスは単に変なセリフを切り抜いたりインパクトのある絵で勝負するだけではない。
1回戦と2回戦はあらかじめ決められた課題図書を熟読し、15のコマ(またはフキダシ)を選択して「デッキ」を作り、その中から1つずつ選んで同時に出していく。まるで「遊戯王」のカードゲームみたいな世界観。

例えば一方が出したコマがいくら面白い変な顔で「ふざけんじゃないわよ!」というセリフを言っているコマでも、もう一方が偶然、フキダシだけを切り抜いた「全然ふざけてませんよ」を出してくるかもしれない。そうなると場の空気は大きなインパクトを受け流して自分のエネルギーに換えた後者に有利となる。両者課題図書を熟読しているのでこういう偶然が起こりやすいのだ。

切り抜いたコマの裏も面白ければ対戦中のとっさの判断で裏を繰り出す「ウラコマ」、2回戦以降解禁となる「コマコンボ」(2つのコマを組み合わせて出せるルール)、真っ黒に塗りつぶされたコマで美しい切り絵を繰り出す技など、創意工夫が激しくぶつかりあう試合を勝ち抜き、数々の戦いの末に決勝へと残った選手を待っていたのは……「ライブコマ出し」だった!

決勝は例外的にその場で課題図書を発表し、会場で選手が10分以内にデッキを作る「ライブコマ出し」が行われたのだった。
15コマ揃わなくては3本先取の1本がペナルティとして相手に与えられるため、第1回大会ではカッターナイフで流血事故が起こるという、マンガの様な事まであった。

第2回大会も盛況の内に終わり(今回は怪我人無し…って、普通はそうだよ!)、第1回には無かった新手の戦い方や新しいタイプの選手の登場が、今後の展開を予感させた。

元々このコマジャン大会は東京・国分寺にあるアートスペース「mograg garage(モグラグガレージ)」が主催し、スタッフも選手もその周辺のアーティストなどが中心になって開催された。絵描きに彫刻家、写真家から映像作家や学生まで、個性的な選手たちが普段それぞれ別々のフィールドで磨いている感性を、コマジャンという共通のリングでぶつけあった事が「超文化系バトルゲーム」に仕上がった大きな要因かもしれない。今後もコマジャンから目が離せないぜ。大会の様子は映像で公開されているので是非チェックだ!(香山哲)