今が旬のカリフラワー。色白美人のような真っ白な見た目が魅力だが、ブロッコリーに比べて食卓にのぼる頻度は少なく、ちょっと影の薄い存在という印象だ。
しかし最近、そんなイメージを覆すようなカラフルでユニークなカリフラワーを目にするようになった。黄色に紫色のもの、極めつけは、とがった房が美しい渦を巻いたもの。どれもほかの野菜たちに負けまいと、際立って自己主張している。

カリフラワーといえば白色と思いこんでいたが、たくさんの品種があるのだろうか。カリフラワーやブロッコリーなどの種を専門に育成している野崎採種場(名古屋市)の野崎知紀さんにお話をうかがうと、日本では白色のものが定着しているが、世界には何百もの品種があるとのこと。色のついたものや渦を巻いたもの(ロマネスコ系)も、ヨーロッパでは普通に流通しているそうだ。
野崎採種場では、それらの品種から日本の風土に合った種をつくるため日々改良を重ねており、現在、白色のものだけで27品種、ほかに黄色の「黄玉」、紫色の「紫雲」、ロマネスコ系の「うずまき(3品種)」の種を販売している。

見ているだけでも楽しくなるようなカリフラワー、さっそくゆでて試食してみた。黄色はゆでると色味が増して、茎まできれいな黄色にゆで上がった。味や食感は、白色のカリフラワーと似ている。紫色は色素がお湯に流れ出てしまい、ブロッコリーのような緑色に。味も、まるでブロッコリーのようだ。
そして、初めて見たとき「なんじゃこりゃ」と思ったロマネスコ系。ゆでると、薄い緑色がきれいに残り、味、食感ともに白色のカリフラワーとそっくりだった。

近年、ロマネスコ系は日本でもつくられるようになり、消費者にも認識されつつあるという。「カリブロッコリー」や「やりがい君」など、生産者が独自につけたユニークな名前で売られていることもある。それでも、カリフラワーの市場では白色の占める割合が圧倒的に多く、ロマネスコ系やカラフルなものは、ほんのわずかしかないという。

「もっとアピールすれば、需要の増加は当然ある」という野崎さんに代わり、ここでブロッコリーに押されがちなカリフラワーの長所を紹介しよう。
まず、カリフラワーはブロッコリーに比べてゆでたときに煮崩れしにくく、ビタミンCの損失が少ない。また、ブロッコリーは生のまま保存しておくと黄色く変色してしまうが、カリフラワーは日持ちする。そのため、ヨーロッパではピクルスなどの保存食にする習慣もある。カラフルなものやロマネスコ系を使えば、目にも楽しい彩り豊かなものになり、パーティーなどにも活躍してくれそうだ。

野崎さんから教えていただいた最新情報では、ゆでても紫色が残り、そこに酢をかけると鮮やかな赤紫色に変化するという新品種もあるという。私たちの知らないところで、日々進化を続けるカリフラワー。
スーパーで見かけたら、一度試してみてはいかが?
(ミドリ)