review

紅白出場の裏に秘められたドラマです! 水樹奈々『深愛』を読んでみました

わたしが面白かったのは、自由につかえるお金もロクになく、居候として遠慮しながら生活する食べ盛りの少女の悲しいまでの食への渇望、そのリアリティ。

〈「ああ! お肉が食べたい!」
たまに食卓に並ぶ唐揚げが盛られたお皿は、私には輝いて見えた〉

〈……何を食べようかと一日中考えていた。うっすら笑みをうかべて考え事をしている私の姿は、きっと奇妙だったろう〉

その他、インスタントラーメン、マック、パスタ、プリンなどなど、憧れの食べ物をはじめて口にした時の今でも忘れられない感動が続々と切々と語られて、いちいち胸に迫ります。
しかし、思春期ならではの健康な食欲は、先生のセクハラに精神的に追いつめられていくうちに、過食へと変わってしまって……。

〈その代償は、おかしな形で表れた。私は布団の中でお菓子をかじった。どうしてそんなことをしたのだろう。明るい蛍光灯の下では、無闇にお菓子を食べることに罪悪感を覚えてしまうからだろうか。たぶん私は、自分自身にさえ隠れて食べていたのだと思う〉

〈自分自身にさえ隠れて食べていた〉。
この一文に出会っただけでも『深愛』を読んでよかったと思いました。

成功した若い女性が、不器用でうまく生きることのできなかった時代を、きちんと逃げずに深く見つめて書かれた一冊。打ち込みたいことはあるものの、自信がもてずに苦しんでいるひと、『深愛』読むときっと「よーしやっちゃろう!」という気持ちになりますよ。(アライユキコ)

あわせて読みたい

レビューの記事をもっと見る 2011年1月21日のレビュー記事
この記事にコメントする

\ みんなに教えてあげよう! /

新着トピックス

レビューニュースアクセスランキング

レビューランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

トレンドの人気のキーワード一覧

新着キーワード一覧

エキサイトレビューとは?

エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。

その他のオリジナルニュース