今月5日の東北新幹線「はやぶさ」スタート時に「撮り鉄」の男性が勢いあまってホームから転落……というアクシデントがあった。ある世代以上の人にとってそれほど新幹線というのはテンションが上がる乗り物なのだろう。


しかし、いかに新幹線好きであろうとも、運転士の存在を意識することはふだんあまりないのでは? メディアファクトリー新書の新刊『新幹線を運転する』はなんと、東海道新幹線の現役運転士が、新幹線の運転について初めて語りおろした衝撃の一冊。新幹線開業と同じ1964年生まれという木内辰也運転士は、O系から最新型のN700系まですべての東海道新幹線を運転してきたというプロ中のプロ。

中でも印象的だったのは、「風景は景色ではなく、知識である」なる名言。新幹線運転士はフロントガラスごしに絶景を見ても、通過地点のめやすとして捉えるだけで、「きれいだ」「とか「すごい」とかまったく思わないらしい。うーん、これも一種の職業病? このほかにも、「お客様の乗り心地のために、なるべくブレーキを使わない運転を心掛けています」などのトークもあってビックリ。乗客のために、そこまで考えて運転してくれていたとは……おかげで我々は車内で安心して爆睡したり、お弁当を食べたり、週刊誌を読みふけったりできるのですね~。


ちなみに、タイトルにした『電車でGO!』の件は、宴会の罰ゲームか何かで2度ほどプレイしたところ、まったくうまくできなかったそうだ。「実際の運転とは全然違います。やはり、ゲームの得意な人が上手にできるのではないでしょうか」とのことだった。

版元の担当編集者さんによると、発売後の売れ行きは非常に好調だそう。
「『はやぶさ』デビュー、九州新幹線全線開業、名古屋に『リニア・鉄道館』オープンなど、3月は新幹線のニュースが目白押しで、『新幹線』自体が盛り上がっていることも理由の一つだと思います。本書を読んでいただければ、読者の皆さんも、運転士さんと同じように『背中でブレーキを感じられる』ようになるかもしれませんよ」とのこと。


さらに、巻末の「東海道新幹線運転士スペシャル座談会」にはここでしか聞けないトークが満載。
「自分が乗客として乗るならどの席がいいか?」という質問に、「横揺れが少ないセミアクティブサスペンションが採用された車両」「富士山が見たいので山側のE席」「最後まで誰も横に座らない可能性が高い1号車海側のA」「対向列車とすれ違わずゆっくり寝られる、上りならE席、下りならA席」などなどそれぞれにマニアックな答えを返しており、これは私たちが自由席に乗るときの参考になるかも!?

ともあれ、運転士さんの人間味あふれる素顔にグッと親近感がわく一冊。今後、新幹線に乗車する際は、運転席のほうを向いて「今日もありがとう」とつぶやいてしまいそう!? 近々、旅行や出張の予定がある人は、車中のお供にぜひ~。
(まめこ)