「元気なら、男でも女でもいい」。妊娠中の夫婦から、こんな言葉をよく耳にする。
まあ、それは本音に違いないだろう。けど、「性別がわかるなら、それに越したことはない」ってのも本音ではなかろうか。

性別がわかっていれば、名前を考えるのも片方の性だけでいいし、衣類の色なんかも迷わずに済む。赤ちゃんを迎え入れる準備をするのに、性別がわかっているのは何かと便利なはずだ。

ところが、産婦人科の中には、性別を教えてくれないところもある。筆者の妻が第一子の出産にあたって通っていた横浜のとある病院がその例。
エコーでお腹を見てもらっているとき、先生に性別を尋ねたところ、「そんなこと教える義務はない」と一喝されてしまった。

たしかに、「義務」はないかもしれない。けど、わかるのなら教えてもらいたいというのが親の偽らざる気持ちである。そんな折、友人夫婦宅へ遊びに行ったとき、そこの長男である3歳の男の子が妻のお腹を指してこう言うではないか、「赤ちゃん、おちんちんないけどどうやってオシッコするの?」。

ハハハ、かわいいこと言うなあこの子、なんて筆者は笑っていたが、長男の母いわく、「たぶん、お腹の子は女の子だよ」。聞けばこの長男、友人夫婦の第二子の性別はおろか、数多の“お腹の子”の性別を的中させてきたらしい。


生まれてきたわが子も、実際女の子だった。うわあ、超能力者かよ、あの長男……。なんてちょっとこわくなってしまったが、子供ができて多くの親と知り合うと、小さい子はお腹の子の性別がわかるという話をよく聞くようになった。あの長男が特別なチカラの持ち主ってわけではないようなのだ。

さてさて、この小さい子たちの不思議な話。科学的根拠はあるものかと、現在第二子を妊娠中の妻が通う鎌倉の産院で聞いてみたところ、「はっはっはっ、お父さんはファンタジーですな」と一笑に付されてしまった。


他にもいくつかの産婦人科医に話を聞いてみたものの、返ってくる言葉はどれも似たようなもの。ただただファンタジスタ扱いされてしまう筆者(笑)。どうやら科学的根拠はないようだ。しかしながら、こういった小さい子の話が枚挙に暇がないことも事実である。

大きく目立ち始めた、妻のお腹。二歳になるわが家の長女は、そのお腹の子に向かって、誰が教えたわけでもないのに「赤ちゃんクン」と声を掛けている。
「クン」付け、ということは、第二子は男か……。間もなく、その答が明らかとなる。
(木村吉貴/studio woofoo)