城崎温泉がある兵庫県豊岡市。「知られなければ、存在しないことと同じ」との中貝宗治市長の掛け声のもと、豊岡市役所は情報戦略係を設置し、市をあげて情報発信に取り組んでいる。そんな中、月に1,400万ほどが訪問する人気サイト、「美人時計」を知り、タイアップを実現。その結果、たちまち城崎温泉観光協会公式ホームページのアクセス数が増え、温泉旅館側も一段と盛り上がりを見せている。
新しい情報を常に発信し、街を盛り上げてゆこうという住民の力。じつは今になって始まったことではない。なんと城崎温泉は、復興を遂げた土地なのである。
さかのぼること大正14(1925)年5月23日。城崎温泉は、北但(ほくたん)大震災で壊滅的な被害を受けた。しかし城崎の人々は立ちあがる。復興のコンセプトは“元に戻す”というもの。城崎の人々は、城崎温泉の宝物は、木造3階建て旅館が立ち並ぶ和風の情緒だとして、昔ながらの木造3階建ての街並みを取り戻したのだった。そして今も、この街並みが残る風情のある温泉地。訪れる人は浴衣を着て、下駄を履き、街をそぞろ歩き、7つの「外湯めぐり」を楽しむ……それが城崎温泉の風景となっている。